10月31日、東京地裁民事第8部(大門匡裁判長ら)は、武富士の更生管財人・小畑英一弁護士(冒頭右写真)が出した更生計画を認可した。
これにより、武富士は100%減資され(これまでの株主の所有権は0に)、12月1日、会社分割され、韓国の最大手消費者金融会社「A&Pファイナンシャル」(ソウル市)のグループ会社「アプロ」(武富士本社=冒頭左写真=と同住所)が武富士の消費者金融事業を継承し再建を目指すことになった。
10月24日までに債権者の投票が行われ、更正担保権の100%、更正債権の85%(内、過払債権者の88%)の同意を得てのことながら、実はこの更正計画決定には疑問の声が少なくない。
というのは、債権者にとってもっと条件がいい更正計画案があったにも拘わらず、地裁も小畑管財人もそれを無視したふしがあるからだ。
管財人は債権者への弁済率3・3%はあくまで第1回目のもので、第2回目以降の弁済も予定というが「空手形」の可能性が高い。これに対し、8・9%など高率の別の更正計画案が2つあったのに、民事第8部は早々にこの2案は却下し、前述のように投票に付されたのは最低弁済率の小畑管財人案のみだった。(横写真=『選択』11年8月号記事)
しかも、この小畑弁護士はそもそも武富士の代理人として会社更正を申し立てた人物。なぜか、民事8部はこんな人物を管財人に選んだのだった。
こうした経緯もあり、千葉県弁護士会は今年6月、「小畑管財人の解任」を求める意見書を最高裁と民事8部に提出。8月には群馬、9月には宮崎県、佐賀県、10月には岡山県の各弁護士会も同様の会長談話を発表していた。
実は噂の域を出ないものの、先のような経緯から、関係者の間ではかなり以前から、「小畑弁護士は武富士創業家と裏で繋がっているのではないか?」との見方が囁かれていた。
武富士の過払い債権者は約90万名以上で、その債権額は約1兆4000億円。今回の更正計画認可でその支払いは3・3%のたった462億円で済む。これが8・9%の更正計画なら約1246億円いる。
「最低の弁済率で会社更生を認めさせ、過払い金の支払いなどをチャラにする究極の債権逃れマジックではないか!?」(債権者の1人)
万一、このマジックが成り立つとすれば、武富士の事業を継承するA&Pファイナンシャル側も裏で繋がっていなければならない。
その点に関しても、実はこんな見方もあるのだ。