本紙は10月27日、「安倍首相お膝元上場企業がついに反乱? 下関市の公共工事差し止め求め提訴」なるタイトル記事を報じた。
安倍晋三首相の地元・山口県下関市の大型工事を巡り、入札に参加していた地元上場企業グループ(グループ代表は大証上場「原弘産」の子会社=「原弘産PFIインヴェストメント」。社長は原弘産と同じ原將昭氏)が、下関市(江島潔市長=写真左)を相手取り、総合商社首位、東証1部「三菱商事」(佐々木幹夫会長=写真右)を中心とするグループが落札したところ、その処分取消を求めた「落札者決定処分取消等請求事件」を提起したのだ。
そもそも、下関市と原弘産は良好関係にあったし、公共工事をもらう相手で、しかも地元企業という関係からも、波風を立てたいわけがなく、よほどのことがなければ訴訟提起などするはずがない。
そこで、いったい、水面下で何があったか興味が湧くわけだが、その後、その訴状(横の写真)を入手したので、以下、その核心部分を紹介しよう(カッコ内は訴状からの引用)。
今回の入札方式は、「客観的な数値は、入札価格に関する事項だけである。他の項目は、全て各審査委員の主観によって決まることである。このため、極論すれば、ある特定の委員の誘導によって決まることもあり得る」ものだった。
だが、「だからこそ、客観的な数値である入札価格に関する事項に対して半分の50点を与えていた」。
そして、その入札価格だが、原弘産グループは73億8450万円。これに対し、三菱グループは約83億円(推定)で、この配点は1番安い価格のグループを50点、他のグループは1点=4000万円で換算することになっているので、三菱グループは入札価格では22・9点しか取れなかったはずだという。したがって、
「大差を付けたのである。そうすると、これ以外の事項で23点の差を付けなければ、三菱商事グループは原弘産グループに勝てないことになる。これは、通常であれば、限りなく不可能に近い数字といえる」
だが、結果は逆に三菱商事グループが合計63・8点で、2・4点の差を付けて落札した。