反面教師として、昨年10月、アパグループ主催の懸賞論文に「日本は侵略国家であったのか」なるタイトル論文を寄せた問題で航空自衛隊トップの座を追われた、田母神俊雄元航空幕僚長(60)の著書を紹介する(横写真。2月26日より発売中)。
本人は笑いを取るつもりで、自ら講演の冒頭、「“危険人物”の田母神です」と言っているのだろうが、本書に目を通すと(目次を掲載)、まさに“危険人物”であることがよくわかる。
田母神氏は前書きで、自虐史観はいけないという。過去の過ちを認めること=日本は悪い国となり、国民に自信と希望を与えられないからだというのだ。
だが、過ちを認めることこそ本当の勇気がいり、そうできる国は、逆にますます誇りが持てると思うのだが。
続けて、田母神氏は当時は欧米列強はもっと悪いことをやっていたという。その通りだ。だが、「あいつが10人も人を殺したから、1人だけの俺に罪はない」なんて理屈が通じないことは、小学生だってわかる。
こんな単純思考の持ち主が、航空自衛隊トップだったことに唖然とさせられる。
やられた者の痛みをまったくわかろうとしない、その神経にも驚かされる。
日韓併合で、韓国の産業は大きく伸びたし、創始改名は強制でなかったという。そうだとしても、産業発展は結果論に過ぎないし、どこに本当に望んで創始改名する者がいるというのか。多くの者は生き残るためにやむにやまれずやったことで、なぜ、そこに思い至らないのか。
ところが、こんな人物に対し、実質、首を切った自民党から、次期衆議院選挙出馬へのオファーが来ているという。