医療法人「寿光会」(東京都青梅市)は、同市内で精神科と内科・介護療養型医療施設という2つの病院(写真右)を経営している。
2003年2月、当時の理事長が密かに病院の経営権売却話を持ちかけた(実際に一部、2億5000万円受け取る)ことで混乱が始まる。
その後、病院乗っ取りで有名な新田グループが関係していることに気づき、売却契約を破棄。両者間で経営権を巡って争いになっているなか、近い上場を目指しているとされる有料老人ホーム経営大手の「ベストライフ」(本社・東京都新宿区。長井力代表)が病院側に接近、一方で信用金庫など大口債権者の権利を買い取るかたちで、現在、寿光会の経営権は実質、ベストライフに移っている(同社の債権額は05年1月現在、約10億円)。
ところで、これに対し、前出の売却話を言い出した元理事長経由で、善意の第3者として経営権を得たと主張する甲斐俊郎氏が、ベストライフが実質、指名した寿光会の藤本和幸理事長の選任手続きは違法として、「社員総会決議不存在確認請求訴訟」を2004年に提起していた(八王子支部)。
その高裁判決が今年8月22日に出て、一審(05年11月)に続き、甲斐氏側が勝訴した(冒頭写真左はその判決文表紙)。
ベストライフは上告したものの、実は経営権を手放さざるを得ないぎりぎりの状況に追い込まれていた。
こうしたなか、この9月末、本紙に、藤本寿光会理事長の失踪説が流れて来たーー。