アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<書評>『現職警官「裏金」内部告発』(仙波敏郎元愛媛県警巡査部長)

  本の帯にもあるように、警察の裏金づくりという「組織的犯罪」に、独り立ち向かった男の究極の人間ドラマ。 一挙に読ませるその魅力は、裏金づくりの手口の全貌が書かれていることももちろんだが、それを2005年1月、史上初にして唯一、現職警官として告発した仙波氏のまさに「カネもいらず、名誉もいらぬ、命もいらぬ」を絵に描いたような生き様によるところが大きい。 優秀な成績だったのに、家庭の貧しさから大学進学が叶わず、「高卒でも実力があれば署長になれる」との言葉を信じて愛媛県警入り。そして、24歳で巡査部長試験に合格。ところが、ほどなく裏金請求のための偽領収書づくりにサインを求められこれを拒否したことから、昇進の道を閉ざされただけでなく、今年3月の定年まで36年間、孤独な闘いを強いられた。  仙波氏がサインしなかった理由は単純明快。「犯罪を犯す(私文書偽造。詐欺・横領罪)者が、犯罪者を取り締まれない」からだ。 仙波氏にとっては「当たり前」のことで、それは貧しい家庭に育った小学生の時、雑貨屋をしていた母親に気兼ねし、その店の黒アメ一個が欲しいといえず、黙って食べた際、「欲しかったらいいなさい。黙って食べたら盗みと一緒や。お母ちゃんは情けない」と母親に叱りながらも泣かれた体験から来ていると言う。 つい先日、そんな仙波氏が上京され、本紙・山岡はお会いする機会を得た。 仙波氏は、山岡のインタビューも載った単行本『報道されない警察とマスコミの腐敗ーー映画「ポチの告白」が暴いたもの』(横写真)にも登場しており、それで同じ愛媛県松山市出身と知って、著者の寺澤有氏(寺澤氏のブログ)を介してこの機会を得た。 冒頭右写真は、稀な機会ということで、映画『ポチの告白』の高橋玄監督(監督のブログ)、それに群馬県警警部補に復職係争中の大河原宗平氏(裏金問題も告発)も加わり、歌舞伎町で宴会中のショット(左から高橋、山岡、仙波、大河原。寺澤氏撮影)。 こちらの書籍もまだ在庫あり。映画『ポチの告白』もいまも上映中なので、ついでに再度、宣伝しておく。 (『現職警官「裏金」内部告発』1500円+税。講談社)…

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