アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

「東邦グローバル」に見る、新株予約権引受香港ダミー会社の常任代理人争い(1)

 本紙は5月9日、大証2部の「東邦グローバルアソシエイツ」(東京都港区)が昨年2月に発行した新株予約権を巡ってトラブルになり、脅迫事件浮上かという記事を報じている。
発行価格は9732万円。その全部を引き受けたのは「トップ・ギア・インベストメント・リミテッド」という香港の会社だったが、これはあくまでダミーで、実際に資金を出したのは例の最大手だった人材派遣会社「クリスタル」買収の仲介で巨額の手数料を得た中澤秀夫公認会計士だった。
ところが、中澤氏と、当時パートナーだった鬼頭和孝氏はその後関係が決裂。そうしたなか、常任代理人争いが起き、鬼頭氏が暴力団に脅されたと警察に告訴したわけだ。
中澤氏にしてみれば、「自分が指示もしていないのに勝手に常任代理人を変えた」となり、鬼頭氏にすれば「実際の事務は自分が任せられており、何が悪い」ということであるようだ。
本紙は、どちらの常任代理人が正当か判断を下すつもりはない。
しかし、常任代理人というのは、わが国の上場企業が増資し、その引受者が海外に住所を置く場合、必ず日本国内に代理人を置かなければならず、特に“危ない上場企業”の引受においては、本当の引受者は訳ありで正体を隠したいし、また節税も兼ね、海外に住所を置くダミー会社を使うケースは多い。それだけに、今回の東邦グローバルのように仲間割れ、乗っ取りなども置き得る。というわけで、今回のケースはひじょうに興味深い。
というのは、この常任代理人という制度はわが国上場企業の定款または株式取扱規則において定められているだけで法令上の規定は存在しない。それだけに、実際は極めて重要な役割であるにも関わらず、その気になればまったくの部外者が介入し、常任代理人の変更を行ってその権利を盗むことだって可能だからだ。
そして今回の東邦グローバルのケースだが、何しろこの新株予約権をすべて株式転換すれば過半数以上の筆頭株主になれるし、現在も同社株価がかなりの割合で上昇しているように(冒頭右写真=東邦グローバルの株価チャート図。同左写真はある常任代理人の入居ビル。説明は以下で)、一部を転換して即売り差益を稼ぐ、あるいは、仕手株狙いの投資家に一部権利を譲渡して儲けるもよしと、極めて魅力的だけに、その争いはますます熾烈になるというものだ。

この続きを読むには有料購読の登録が必要です。

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧