東京地裁は6月2日、昨年9月の時点で、経営破綻した大手商工ローン「SFCG」(東京都中央区。破産手続き中)は支払い不能の状態にあることを知りながら、大島健伸元会長はそれ以降に次々と「資産隠し」を行い、その額は総額約717億円にもなるとの決定を出した(冒頭写真記事=本日の「読売」一面)。
2005年施行の改正破産法で、破産管財人が裁判所に査定の申立を行えば、正式な裁判を起こさなくても、簡易かつ迅速に賠償額が決められるようになった(ただし、1カ月以内であれば異議申立でき、その場合は、改めて正式な裁判で争うことになる)。
破産管財人を務める瀬戸英雄弁護士は、この間、SFCGからは約2670億円(簿価)の資産が流出したと見ているが、そこで、証拠がハッキリしている分として5月8日、申立人は717億1582万6396円と査定するとして、査定の申立を行っていた。そして、1カ月経ないで東京地裁はその申立額満額を認めたということだ。
この約717億円という額は、1部上場企業の元役員に対してのものとしては過去、最高と思われる。
大島元会長の「資産隠し」疑惑に関しては、本紙はいち早く報じているが、今回、裁判所のお墨付きが出たカッコウだ。
ところが、これに対する意外とも思える動きを本紙はキャッチした。
この申立を行った瀬戸弁護士について、大島元会長側の代理人弁護士が6月3日、「デタラメな申立額」として、瀬戸弁護士の所属する第一東京弁護士会に懲戒申立を行ったというのだ。