「水谷建設」の脱税事件に東京地検特捜部が乗り出した狙いの一つに、“北朝鮮ルート”があるのは本紙でも既報の通り。
そして、まだ大手マスコミはほとんど報じていないが、他の“福島ルート”、“原発・産廃利権ルート”同様、この北朝鮮ルートにも東証1部上場の「前田建設工業」(東京都千代田区)が深く関係していたようなのだ。
2002年9月、小泉首相が訪朝、金正日総書記との間で「平壌宣言」を締結。そのなかにはわが国が北朝鮮に対して“経済協力”を行うことが明記されていたことから、わが国ゼネコン各社はバブル崩壊、公共事業縮小で厳しい中、この北朝鮮との経済協力による現地工事建設等を受注することに強い関心を向けた。
その結果、水谷建設等の橋渡しにより、04年10月、前田建設工業が幹事となり、大成建設などわが国ゼネコン10社幹部が訪朝(現地視察)を計画する。
もっとも、この件は本紙でも既報のように、右翼団体の抗議等によって中止を余儀なくされるのだが、この時に幹事を務めた前田建設工業の具体的人物は峯本守代表取締役兼執行役員副社長だった(その後、取締役副会長を経て今年6月末で退任)。
ちなみに、峯本氏は日本鉄道鉄建公団理事からの天下り。また、水谷建設は福島県の木戸ダム工事を前田建設の下請けとして受注しているが、同ダム工事を始めるにあたっての式典で峯氏は佐藤栄佐久知事と仲良く鎮定の儀を行っている。
ところで、本紙はこの峯氏に振り出された1億円の約束手形コピーを入手した。
(写真・前田靖治前田建設工業社長)