7月26日、超ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの日本語翻訳者・松岡佑子さんが、同シリーズの翻訳料などの所得を申告してなかったとして、東京国税局から2004年までの3年間、約36億円の申告漏れを指摘されていると報じられた。
松岡さんが所得を申告しなかったのは、自分はスイスに居住しており、したがってスイスで納税していたから。だが、国税局は実際の生活の本拠地は日本にあると判断した結果だ。
彼女のような高額所得者の場合、わが国での税率は50%。これに対しスイスは40%弱で、スイスを居住地とした方が節税になる。そのため、彼女はスイス・ジュネーブにマンションを購入したと思われるが、こちらが「居住地」と認められるためには、スイスでの滞在日数が日本より上回っていることが最低条件。ところが、日本での滞在日数の方が多かった。
なぜ、こんな基本的なミスを犯したのか。ある事情通はこう見る。
「年間185日(365日ー180日)はスイスにいたから、大丈夫と彼女は思っていた。ところが、この185日は185泊して有効なんです。例えば、スイスで10泊11日いて、それを年間10回繰り返したとします。国税の計算はそれは10日×10回=100日。これに対し彼女は11日×10回=110日。こうした計算違いの結果ではないでしょうか」
ところで、邱永漢氏といえば、“投資の神様”とも言われた投資コンサルタント。直木賞作家でもある。
彼の場合も節税も兼ね、1992年から香港を「居住地」としている。
ところが、冒頭記事(『夕刊フジ』2003年3月26日号)のように、やはり東京国税局は香港が「居住地」とはみなさず、過去3年間に渡って約6000万円を追徴課税されていた。