7月16日、朝鮮総連本部ビルの売却話に乗じて、総連から4億8400万円を騙し取ったとして、東京地裁は、元公安調査庁長官の緒方重威被告に対し懲役2年10月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した(検察側は執行猶予判決は不服として控訴)のはご存じの通り。
この事件が注目されるのは、本来、朝鮮総連を取り締まるべき検察トップが、総連側に“加担”していた特異性もそうだが、もう一つ、何とも不可解なのは、この事件の本質は当初、整理回収機構(RCC)の債権回収を妨害する「競売執行妨害」との見方が有力だったのだが、その見方が採用されず、緒方被告などは詐欺罪に問われ、総連側は何らお咎めなしどころか、被害者扱い(ただし、総連側は金銭被害を受けながらも、被害は無かったと主張)されたことだった。
そして、緒方被告側も少なくとも有力な第3者の立場の買い手企業候補はあったとして、詐欺ではないと主張したものの、それは認められなかった。
実は本当に有力候補は存在し、それは大手ドラッグストア経営会社だったとして、今年6月、「告発文書」が出ていた。告発の契機になったのは、その会社の元専務が5月下旬、自殺を遂げたことだという。
(冒頭写真=緒方被告著、この7月31日発売の「自省録」。講談社。1700円+税)