監査役といえば、一昔前までは、企業のお目付役というのは建前に過ぎず、実際は何ら意見を述べることなく、大人しくしていることで報酬を得ているとして、「閑散役」などと皮肉る向きもあった。だが、そのためもあって不祥事が続出し、監査役も罪を問われるケースが出て来るに及び、現在は「モノ言う」監査役も増えている。
そうはいっても、ヘラクレス上場、IT関連の「トライアイズ」(東京都千代田区。旧ドリームテクノロジー)の監査役のように、会社に対し3つの訴訟を提起、そして監査役自らが専用のHPを開設(冒頭写真)、対立の真相を吐露するという“全面戦争”のケースはまず例を見ないだろう。
詳細は省くが、この戦いはすでに今年3月から始まっている。
3月25日の定時株主総会で、経営陣が常勤監査役の古川孝宏氏の解任決議を行おうとし、これに対し、古川氏がこの議案提出禁止の仮処分を行ったことだった。
その後、この議案は経営陣側が自主的に取り下げたが、古川氏が仮処分申立のための弁護士費用を会社から出そうとし、これを拒否されるや、今度はその支払いを求めて提訴。また、これに先立ち、3月の株主総会の一部の決議取消訴訟も提起している。
こうしたなか、古川氏は自分の意見が十分に株主等に伝わらないとして、8月4日に自分の主張を記した専用HPを開設した。
今回、本紙がこの件を報じたのは、このHPに9月2日にアップした主張がたいへんな話題を呼んでいるからだ。