書籍『福田君を殺して何になる』(=冒頭写真。著者・増田美智子。インシデンツ。1500円+税。下写真=目次)を巡って、トラブルが起きている。
本書は10月8日から書店販売となるようだが、これに対し、弁護団は「被告人の不利益になり得る」(具体的には“事前検閲”を要求。筆者側はこれを拒否)として、法的手続きをとる(出版禁止の仮処分と思われる)ことを通知しているからだ(9月29日段階)。
9月下旬、新聞などで本書が発売されると報道され、弁護団はその事実を知った。ただし、発売前なので、誰もまだ本書を読んだ者はいない。
サブタイトルに「光市母子殺害事件の陥穽」とあるように、本書は、99年4月に発生した母子2名の殺人事件のF被告(当時18歳。現在28歳)の“素顔”に迫ったものだ。
この裁判、1、2審とも無期懲役の判決だったが、最高裁はこれを破棄し、08年4月に出た差し戻し控訴審の判決は死刑に。これに対し、弁護団は上告し、現在、最高裁の判断待ちだ。
この間、『週刊新潮』がF被告を実名報道して物議を醸した。また、最高裁が弁論開始を決めた際、新たに就いた弁護団が弁論を欠席、さらに「遺体の姦淫は『魔界転生』で読んだ復活の儀式」「ドラエもんが何とかしてくれると思って遺体を押し入れに入れた」などの一見奇妙な新供述により、殺意はなかったとの弁論方針の大転換を行ったことは、死刑回避のための方便と見られ、被告・弁護団共、激しい社会的批判を浴びたのでご記憶の読者も多いことだろう。
ところで、縁あって、本紙・山岡は本書のゲラを発売前に読むことができた。
本書は本当にF被告の不利益になり得るのか? 以下、率直な感想を記す。