2008年10月、山口組から「除籍」処分を受けた有力2次団体「後藤組」組長だった後藤忠政(本名)氏が出した本となれば、当然ながら、引退に至る真相が書かれていないか気になるところ。
当時、6代目執行部に対する批判が起き、多くの組が取り潰され、後藤氏の動向もいろいろ取り立たされていた。
だが、本書で後藤氏は、『週刊新潮』に芸能人を集めて誕生会を開いたことを書かれたこと、月1回の山口組定例会に度々欠席していたことに触れているだけだ。
一方、後藤組といえば、「伊丹十三襲撃事件」が思い出される。
92年、映画監督の伊丹氏が後藤組組員に襲撃され、顔面などを刃物で切られ重傷を負った。民事介入暴力を描いた映画『ミンボーの女』(そのポスター=上左写真)に対する報復だった。
この件につき、後藤氏は組員が勝手にやったことと述べるだけでなく、「ヤクザとしてのプライドを持っている者なら、誰がやってもおかしくないと思っていた」「ヤクザの社会では拍手喝采」とまで言い切っている。
現在、得度したという者の言葉とはとても思えないが、そんな本書でも見るべきところはある。
創価学会について1章分割き、かつてやった裏仕事(学会の墓苑造成反対住民を襲撃するなど)について暴露。そして、池田大作名誉会長(上右写真)について、「一番の悪はやっぱり裏で“汚れ仕事”させといて、表では善意に満ち溢れた教祖サマ面している、池田大作」と述べている。