「足利事件」で無罪判決が確定し、新たな冤罪を生まない捜査の在り方が問われるなか、ある損害賠償請求事件で、実に興味深い証言が飛び出したので報告する。
結論を先にいえば、「捜査報告書」の証拠能力自体は高くないが、某捜査員がある事件の初期の段階で勝手な事件の構図を描き、ある有力者からその構図に合った供述を取ったと虚偽報告したとしよう。それを他の捜査員、担当検事も信じ、証拠能力の高い供述調書が作られていったらどうなるか?
捜査員が、すでに有力者から証言を得ている(捜査報告書のこと)といえば、その有力者を信用している部下や関係者が、「あの人がそういうのなら、そうかも知れない」と思い、真実とはまったく異なる同様の供述調書が作られてもおかしくない。
極論すれば、捜査報告書をデッチ上げれば、それに基づいた証拠能力の高い供述調書が簡単に作られ、無罪の者を貶めることが可能ということだ。
昨日(7月7日)午後1時半から、埼玉地裁(冒頭右写真)105法廷で証人喚問があった。
原告は金子俊也氏(冒頭左写真)。被告は、原告が虚偽の捜査報告書を作成したと主張する埼玉県警本部捜査2課のS警部補を雇用する埼玉県。
損害賠償請求額は100万円だが、この民事訴訟の目的はおカネではなく、S警部補が虚偽の報告書を作ったことを裁判で認めさせること。金子氏はその先に、無罪を勝ち取るための再審請求を見据えている。
この日、証人に立ったのは(社)日本青年会議所の埼玉県内の下部組織の元理事長E氏。このE氏が、S警部補が作成した捜査報告書で供述をしたとされる有力者である。
そして、E氏はその報告書の内容はほとんどがデタラメだとハッキリと証言したのだった。