8月21日、肺がんのため、芸能レポーターの梨元勝氏が亡くなった(享年65歳)。
いうまでもなく、芸能分野の第一人者だったが、有名になると偉そうぶったり、現場から離れてデスク職に専念したり、勘違いして政界などへ転じるケースが多いなか、あの「恐縮です」の決めぜりふそのまま本当に謙虚で、かつ、生涯一レポーターを貫き通した記者のお手本のような方だった。
本紙・山岡はほとんど面識はないが、それでももう20数年も前のまさに駆け出しのころ、誰も目にしないような雑誌の人物インタビュー取材で、移動中のタクシーに同乗させてもらったことがある。その間、どこの馬の骨ともわからぬ山岡に、逆に気を使ってくれている様子で、サービス精神旺盛にいろんな話をしてくれた。
また、その後、週刊誌記者としてかなりの回数コメントをもらったが、どんなに忙しくても、仕事の合間を見て電話コメントに応じてくれた。
その際も、超多忙なスケジュールの間に電話してくれているのに、「本当にすいません」「お待たせました」などの気遣いのセリフが出る。しかも、いうまでもないが慇懃無礼ではなく、本気でそう思っていることが感じられる。第一人者でこんな謙虚な方には、お目にかかったことがない。
ごく最近まで、梨元氏と一緒に仕事をしていた知り合いは、こう印象を述べる。
「本当にあのまんま。裏表のない人でした」
しかも、梨元氏がスゴイのは、それでいて芸能界のダブーにも果敢に挑んでいたことだ。