汚職事件で上告中の守屋武昌元防衛事務次官(下写真)が、主に沖縄・普天間基地移設の協議を主導した2002年から退任する07年までの間の経緯を、自らの日記を元に回想している。
読後感を一言で言えば、この間の辺野古を中心とする移設先の“迷走”は、一般の沖縄県民の思いとは何ら関係なく、沖縄の一部利権屋と、それに組する中央の政治屋など(外務省も)が、自分たちの利権のためにゴネて来た結果に過ぎないことをみごとに暴いている。
何しろ、防衛省事務方トップで、交渉の裏方の中心だった著者が、実名を挙げ、赤裸々に描いているのだ。その事実は重い。
沖縄側でいえば歴代知事や名護市、地元のフィクサー・仲泊弘次氏(国場組も)ら。中央政界では久間章生、山崎拓、中川秀直、小池百合子、額賀福志郎各氏らが登場する。
自身の汚職事件にはまったく触れていないが、著者は、こうした利権屋連中に組しなかったからこそパージされたといいたいのだろうし、実際、先の汚職事件がそうしたなかで出て来たのは事実だろう。
だが、それ故、“負け犬の遠吠え”に映るのか、本書を大きく紹介している新聞にはまったくお目にかからない。社民党の機関紙『社会新報』(8月4日号)ぐらい。
ある政界関係者が、本書の出版の舞台裏を明かす。