ベトナム向けODA案件の贈収賄事件といえば、世界的建設コンサル企業パシコングループ(本社・東京都多摩市)が記憶に新しいが、今回、出ている疑惑はオモン火力発電所(冒頭写真)の受注に関して。
メコンデルタ地方カントー市オモン区に建設中のこの発電所、すでに第1発電所は完成・稼働しているが、順次、第2~4まで建設予定で、すべて完成すれば(総出力2800メガワット)、メコンデルタ地区では最大、ベトナム国内においてもフーミー火力発電所(バリア・ブンタウ省。3859メガワット)に次いで第2位の巨大発電所になる。
そして、この投資額は総額約2324億円を見込むが、第1発電所(約490億円)を見ても、その実に85%はわが国のODAによるもので、その建設は三菱重工と三菱グループが共同運営する組合が受注しているといった具合に、技術的な問題もあるのだろうが、ODAの見返りにわが国大手企業が受注する典型的なケース。
それだけに、わが国大手企業間の競争は熾烈で、自ずとベトナム側の政府関係者がワイロ攻勢のターゲットになるようだ。