アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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DM不正事件の大元公判も、「ポスト村木事件」の様相

村木厚子元厚労省局長の無罪に続き、前田恒彦検事のFD改ざん事件まで持ち上がり、まさに解体状態といってもいい大阪地検特捜部だが、この先、さらに苦難の道が待ち構えているようだ。
それは来年早々にも始まる見通しの、DM不正事件(郵便法違反)のそもそもの原点である「ウイルコ」の2人に関する公判である。
このDM不正事件では計20名が立件され、村木元局長と係長の厚労省職員2名と、障害者団体の河野克史元幹部を除いた17名が郵便法違反に問われている。
ウイルコは通販と印刷が2本柱の東証2部上場企業(本社・石川県白山市=下右写真)。今回の事件では不正DMの印刷と、通販事業で広告主を募る(ベスト電機、キューサイなど)両方で関与したとされる。
だが、ウイルコの若林和芳元会長(=下左写真)、松谷昭元執行役員の2名は一貫して、「違法性の認識の下、障害者団体割引の制度を利用したことはない」旨主張し、容疑を否認している。
 2人についての起訴は昨年の6月であるにも拘わらず、公判は依然開かれていない。関係者によれば、「この裁判は、公判前整理手続きを経て行われることとなっているが、検察側が主張整理に時間を取られているため公判開始日時がまだ決まらない。検察側が決め手を欠いているのではないかと思われる」と明かす。
ウイルコは若林元会長が設立した企業で、若林一族が過半数以上の株を持ちオーナー色が強い。
このため、他の企業はいずれもトップではなく現場責任者が罪に問われているなか、検察はウイルコに関しては若林元会長自らが新生企業側と直に交渉し、違法と気づきながら取引を始めたという絵図を描いているようだ。
「その裏づけのため、大阪地検は約30名もの同社社員から事情聴取し、調書を作っている。しかし、何れの調書も若林氏の関与を裏づける内容になっていないようなんですよ。
“鉛筆1本の購入でも若林会長の決済がいる”との新聞報道もなされましたが、実際には、営業会議も中座することが多く、新生企業との取引開始についての決済権限は、事業部長に委ねられており、上場会社として権限委譲がなされていた。このような事実に焦ったせいか、村木事件でも強引な調べをしたとされる林谷浩二検事など、あるウイルコ社員の取り調べ中、ファイルボードを社員に向かって投げつけていたと聞いています」(同)

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