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「豊洲移転」のための懐柔かーー検証(第1回)「東卸」理事会幹部が儲かる奇っ怪な借金棒引スキーム

本紙は11月9日、「豊洲移転」を巡り、6主要団体のなかで唯一、未だ賛成に転じていない、築地市場の水産仲卸業者で作る「東京魚市場卸協同組合(東卸)」理事長らの背任疑惑について報じた。(冒頭写真=今回の疑惑についてのチャート図)
築地市場の土地は東京都所有だが、6主要団体のなかでもっとも広い面積を借りているのが東卸の業者であり、その影響力は6団体のなかでももっとも大きい。その東卸まで賛成に回れば、豊洲への移転体制が名実ともに完全に整うといってもいい。
その東卸、みずほ銀行と商工中金に約30億円の債務があったが、特定調停により今年6月、内17億円が免除された。借金棒引率約6割という大盤振る舞いだ。
注目すべきは、それだけではない。
その代わりに東卸は一括して1億5000万円を即、支払うこととし、その資金は東卸が組合員に貸し付けている債権約26億円を「マーケットプランニング」(東京都中央区)なる会社に債権譲渡した際の売却代金から捻出した。
約26億円の債権といっても、その大半が不良債権化しているため譲渡価格はわずか1億5000万円になったとされる。
ところが、詳細はこの連載で追って報告するが、現実には不良債権比率ははるかに低く、1億5000万円という譲渡価格は異常に低く設定されていたようなのだ。
そして驚くなかれ、そのマーケット社の株主は6名おり、そのメンバーとは東卸の伊藤宏之理事長と5名の常務理事全員だった(以下に、その証拠資料転載)のだ。
しかも、彼ら6名がマーケット社に1億5000万円を貸してもいた(同)のだが、この程度の額はこれまでの実績だと半年程度でも回収できるから、それ以降の回収分は儲けになる。
組合のトップ以下幹部が、自分たちの大切な組合の債権を破格の安値で自分たちの会社で買って儲けるーーだとしたら、これは利益相反行為で背任罪だと、東卸の監事が声を上げたのだった。


 もっとも、伊藤理事長らだってバカではない。だから、この背任疑惑行為をするに当たってそれなりの言い訳を用意していた。
一つは、自分たちはマーケット社の役員には就きたくなかったが、特定調停は短い期間で決定され、1億5000万円の一括支払いはみずほ銀、商工中金との調停成立のための絶対条件で、その買い取りの1億5000万円も用意しなければならないので、とりあえず組合幹部の自分らが責任感から名を連ねた(他の理事や組合員を入れてもよかったが)。
もう1つは、自分たちが儲けようという気はないので、もし、利益が出たらそれはすべて組合のために寄付するなどのかたちで還元すると明言(念書も入れるとしたが、いま現在入れていない)。
背任疑惑だと問題視する、町山順一監事がいう。
「自分たちが儲けるつもりがないとっても、我々はマーケット社の株主でも何でもないので、儲けたかどうかは外からはわかりませんから」。
また、組合にとって26億円もの債権を譲渡することは重大な問題で、当然、理事会決議を経なければならない。だが、前述のような説明をそのまましたらさすがに通るわけがない。そこで、この方法による特定調停で行くと議決した今年4月6日の臨時理事会においては、マーケット社、その出資者が理事長ら6名とする(このマーケット社の設立は5月13日)との事実などは伏せられ、概要だけ説明された。それも、この場でイキナリ書面を10分ほど見せられ(その書面は回収)、数日、考える時間を設けた方がいいとの意見も出たが即決された(賛成17名、留保13名)。そして、6月4日の臨時理事会で事後承諾的に決を取っている(同)。
ところで、素人が考えれば、これはどう考えても利益相反行為で背任が濃厚と思うのだが、この点について伊藤理事長はこう弁明してもいる。
26億円の債権を持っていたのは東卸で、組合員は仲卸業者の法人。伊藤理事長らはマーケット社の株主に個人でなり、出資も同じく個人で、法人ではない。また、伊藤理事長らは東卸の幹部だが、マーケット社役員(別の者が1名のみ)になっていないから、役員兼任にも抵触しないというのだ。
(つづく)

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