■プロフィール 株歴16年、出版社勤務の兼業投資家。資産は2015に一時、一億円越えとなるも現在は漸減中。投資に必要なのは1に「需給」、2に「ファンダ」だと考えており、できるだけ負けない投資を心がけている。
≪今週の相場展望≫
先週末9日のアメリカ・ダウ指数は、ジリ下げのなか394ドル(-2.13%)もの下落となった。ハト派とみられていたボストン連銀総裁までもが利上げけん制発言を行った結果、ダウはここ1ヵ月の持ち合いを下放れ、気分の悪いチャートとなった。
ただ、常識的に考えて9月21日のFRBで利上げということはまずないだろう。先だって発表された米8月ISM製造業景況感指数は、景況感の分かれ目である50%を割り込んだ49.4%。非製造業景況感指数も2014年来最低の51.4%。昨年の12月、冴えないISMをしり目に利上げを断行したイエレン議長が同じ轍を踏むことは想定できない。
アメリカの企業業績予測はロイターが報じるところで、7〜9月は0.5%の減益も10〜12月は8.3%増益、2017年1〜3月には15%もの増益(8月31日時点予測、すべて前年比)。ブルームバーグ報道でも2016年7.6%の増益、2017年13.2%の増益が見込まれている。これが現実のものとなる確かな証拠がでてきた時が再利上げのスタートとなるのではないか。
また、前日に開かれる「総括的検証」と題される日銀会合も、「なんらかの緩和策が出されるのでは」との観測が主流だが、出てきてもマイナス金利政策を推し進めて円安の流れを作る、その代わり国債購入額の柔軟性な買い取り額を提示する程度が関の山。ようするに小幅な緩和策だ。
そもそも先週木曜に開催されたECB理事会(ユーロ圏)でも銀行への配慮からか追加緩和策はなかった(※特にドイツ銀行は企業の倒産保険(CDS)を大量に引き受けている。ドイツ銀行が倒れるということはリーマンショックを超える世界を巻き込んだ恐慌が起こると同義語である)。というか、追加緩和についての討議は行っていないそうだ。ユーロ安の方向に向かっていないのに、日本だけ金融緩和策はないだろう。
となると、ダウはなぜこれだけ下げたのか!? 先週の金曜はダウがジリ下げのなか、金、石油などのコモディティ関連に異常はみられていない。
よって現状では、今週金曜に予定される米国メジャーSQの前の売り仕掛けだと判断して17000円を奪回する流れになると考えている。ただ、この考えは多少楽観的ではある。よって2回目の暴落がきたら即座に撤回する…。
アメリカの利上げはとっても怖いもの。事前観測がしっかりでていたにもかかわらず昨年12月16日ひとたび米国利上げとなると、年明けからひどいクラッシュを呼んだ。安心感が蔓延してVIX指数(1552)が底割れしていく展開だからこそ絶えず神経をすり減らして最善の警戒をしたい。
また、「Sell in May, and go away; don’t come
back until St Leger day.(6月に売って、9月第2土曜日までかえって来るな」(レイバーデー明けくらいまで帰ってくるな)とは古くからある相場格言。今年、この格言が正しいものであるかは、今週末のFRB、日銀会合明けにみえてくる。現状の見立てでは、アメリカの景気拡大に変調がなければ、相対的に円安に向かい、日本の株価も堅調に推移すると考えている。
前週末9日の日経平均終値は16965円。CMEの日経225先物終値は16655円。同日の日本のMSQは17012円。SQが月間高値安値の分岐点となることが多いので早くこの水準を奪回してほしいものだ。
※ただ、このメジャーSQは売買代金5700億円。アベノミクス以降、最低の売買代金だった。
≪今週の注目イベント≫