■プロフィール 株歴16年、出版社勤務の兼業投資家。資産は2015年に一時、一億円越えとなるも現在は漸減中。投資に必要なのは1に「需給」、2に「ファンダ」だと考えており、できるだけ負けない投資を心がけている。
≪先週の相場展望の振り返りと今週の見通し≫
東証が10月27日発表した10月第3週(17-21日)の投資部門別売買動向は、海外投資家が3週連続の買い越しとなった(※詳細はテクニカルの項で後述)。おそらく10月4週目(24-28日)も買い越しとなり4週連続となっていることだろう。
世界に目を転じても27日、経営破たんが噂されるドイツ銀行の7-9月決算発表が発表され、結果は大幅赤字予想を大きく上回る290億円程度の黒字となり、ついでに英国7~9月GDPも前期比+0.5%増とコンセンサスを越えた。アジア地域の代表格・中国でも、27日に発表された6中全会(中央委員会6回全体会議)で景気対策に触れなかったことが、経済に切迫感のない証拠だとポジティブに受け止められ世界経済に安心感を与えた。
また、先週の相場の締め日である28日金曜日には、米国でも7-9月期GDPの速報値が発表され、コンセンサスの+2.5%をゆうに越えた+2.9%の数値がたたき出された。すでに12月14日のFOMCでの米国の利上げ確率は80%を越えている。
先週は完全にブル相場の様相で、27日には為替が1ドル105円の節目を越えたこともあり、先週末28日の日経平均は17,446円(+261円)で引けている。
ただ、波乱は28日の日本市場が引けてから起こった。28日にウ
イーンで開かれた石油輸出国機構(OPEC)の事務レベルの打ち合わせは、イラクとイランが減産の基準となる生産データを巡り対立し、結局、物別れに終わった。11月30日のOPEC総会の前の25日に、改めて集まり再協議をすることになったようだ。また、28日のアメリカ市場では、ヒラリー・クリントン大統領候補にとってはハプニングともいえる「メール問題に対してFBIが捜査開始」の報道がでるや、相場はナイアガラとなった。
もっとも、日経平均CFDは切り返して17,397円と、金曜引けと比べて45円程度安く戻ってきただけで、相場の基調は崩れておらず今週も「ブル相場継続」予想としたい。
そうはいっても、12月1週目、2週目に入った頃にはいったん利益確定をし、キャッシュポジションを増やすのが賢明かも。実際、事前のコンセンサスもしっかりととれ、万全の経済状況のなか行われた米国の1回目利上げ(2015年12月17日)は血の雨を降らせた。この日を境に新興国からの資金流出はとまらず、世界的なパニックを呼び、日経平均は2月12日の安値に向けて2ヵ月間で5000円の値下がりとひどい惨状になった。まずは月曜の寄りの動きをみて判断したいが、ヒラリーのメール問題が出たおかげでいい調整となった感はある。また11月3日は米国で重要指標があるにもかかわらず文化の日で祝日なので、週前半はもみ合いが基本路線。12月上旬にかけて当面は、4月25日の17,613円の高値、2月1日17905円を奪回する展開が本線だと考えたい。逆にこのブル相場で、日経平均17,000円以下の大幅下落があった場合は、何か不測の事態が起こった可能性を考慮し撤退すべきだろう。
≪今週の注目イベント≫