アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

200億円(?)の資金はどこに消えたのか──海外FX「GEMFOREX」。もう一つの「決済代行会社」の50億円は、どこへ消えたのか!?(第9回)

本紙連載、200億円とも見られる資金が消えた海外FX「GEMFOREX」(ゲムフォレックス)の詐欺疑惑追及は、今回で9回目になる。
そのGEMFOREXは、顧客が出金できなくなった理由につき、一貫してこう説明して来た。「クレジットカード決済代行会社に、資金を止められているからだ」と。悪いのは外部の「決済代行会社」であって、自分たちではないという筋書きである。
そして、本紙はこの連載第5回目で、すでにその決済代行の一社につき報じた。(株)PCINS。10億円を超える顧客資金を留保した会社である。だが、GEMFOREXが自ら公表した未払いの総額は、そんな額では収まらない。約50億円。その大半を握っていたとされる、もう一社がある。
その名は「Virtus」。
本紙は今回、その一社を追った。カリフォルニアの登記を取り寄せ、フィリピンの住所をたどり、契約書を一枚ずつめくった。追えば追うほど、「外部の決済代行」という言葉が、静かに輪郭を失っていった。
先に断っておく。本紙が記すのは登記・契約書・公表資料などに残された事実と、そこから当然に生じる問いである。名を挙げる各氏・各社の不正を断ずるものではない。

■二つの社名、一つの住所
GEMFOREXが約50億円の未払い先として挙げた「もう一社」は、のちに二つの社名で公になった。Virtus Logic Consulting & Services Inc(以下「VLCS」)と、Merrick Holdings Inc(以下「MMH」)である。
一見、別々の会社だ。名前も違う。だが、この二社のカリフォルニアの登記を並べた時、最初の異変にぶつかる。登記された住所が、番地まで同じなのである。カリフォルニア州ニューポートビーチ、4533 MacArthur Blvd. Ste 318ーー別の名を持つ二つの会社が、たった一つの部屋に同居していた。そればかりではない。Virtus Holdings Incの方の代表者(CEO)として登記に記されているのはRyo Tamura(田村)。そして、同じ部屋にあるMMHの代表者もまた、同じRyo Tamura(田村)なのである。二つの名、一つの部屋、一人の代表者。別々の会社に見えて、その実体は限りなく一つに近い。
登記は、履歴も語る。このVirtus Holdingsは、元の名を「Virtus Logic Consulting & Services Inc(VLCS)」といった。それが2021年、社名変更の届け出とともに「Virtus Holdings Inc」へと姿を変えている。名を替え、器を替えるーー本連載で幾度も見て来た動きがここでも起きていた。
日本国内にも、決済事業を営む「株式会社Virtus Payment」がある。登記された目的には、クレジットカード決済と並んで、サーバー設備の販売・保守、サーバーによるデジタルサービスの提供が掲げられている。その代表を務めてきたのが加藤淳氏である。
そしてVLCSは、フィリピンにも実体を持つ。マカティのZuellig Buildingを拠点とし、GEMFOREXだけでなく、他の海外FX業者(Bitterz等)にもクレジットカード決済処理を提供していた。決済代行を専業とする、どこにでもある事業者ーーそう見えたのは、ここまでだった。

■50億円は、どう積み上がったのか?
未払いは、一度に生じたものではない。じわじわと、口座に貯まっていった。
契約の始まりは2016年5月。VLCSがGEMTRADE(GEMFOREXの運営法人)に決済処理を提供し、処理額の10%を「リザーブ(留保金)」として預かり、180日後に返す。それが建て付けだった。当初はフィリピンの銀行口座から、月2回、きちんと送金されていた。
潮目が変わるのは2019年。VLCSは「フィリピンの口座が使えなくなった」として、送金元を米国のMMH口座に切り替えた。そしてこのごろから、奇妙な要求が始まる。多額の資金を、常時この口座に置いておくように要求し、GEMTRADE側はこれに同意した。そして、置かれたその残高は年を追って大きく膨らんで行った。
ところが2022年5月、「GEMが暗号資産を扱っているため決済ラインが凍結された」との通達がMMH側から届く。翌2023年1月、支払いはプツリと止まった。以後、GEMTRADEが何度返還を求めても、返ってきたのは「VISAとやりとり中」という曖昧な言葉ばかりだった。
ただし、ここまでの経緯はいずれも関係者からの聞き取りによる、あくまでGEM側の言い分だ。相手方であるVirtus・Merrick側の説明を、本紙はまだ得ていない。その点はあらかじめ断っておく。
そのうえで、GEM側の言い分を前提にしてもなお、拭えない不自然さが残る。そもそも、なぜこれほど多額の資金を常時、相手の口座に預け続ける必要があったのか? そして、留保金が数十億円にまで積み上がった段階で、それが素直に返って来ると考える者はいないだろう。普通の取引先であれば、そうなる前にとっくに契約を切っているはずだ。にも拘わらず、GEMは切らなかった。あるいは、切れなかった!? ここには、表向きの決済委託とは別の、何らかの取り決めがあったと見るのが自然だろう。第三者同士のただの取引ではない。両者は通じていたのではないか!? そう疑われても、GEM側にそれを打ち消す材料は乏しい。

この続きを読むには有料購読の登録が必要です。

Already a member? こちらからログイン
関連キーワード
検索

カテゴリ一覧