●フリーライター・北健一氏 『月刊現代』9月号(8月1日発売)記事 RCC(整理回収機構)の前身である住宅金融債権管理機構と、中坊公平初代理事長といえば、かつては、借金踏み倒しを確信犯で行っていた住専大口借り手の悪徳企業から借金取立てを強行し、庶民の拍手喝采を浴びたものだ。 だが、その後、中坊氏は詐欺まがいの取立を指摘され、所属する大阪弁護士会で「懲戒相当」と議決され、弁護士業を自主的に廃業したのはご存じの通り。 そして、RCCについても、いまや既得権化し、再生すべき企業から無理やり取り立て、破綻に追い込む事例さえ多いとレポートしている。 ●タイトル「まるで現代版ベニスの商人ーー老人、中小企業が悲鳴を上げるRCC非情の債権回収」 北氏は、乱脈融資で破綻した東海信組の破綻債権をRCCが引き継いだ事例等を取り上げ、その非情の債権回収ぶりを浮き彫りにしている。 同信組の破綻は、岐阜県の協同組合(自己破産)を牛耳っていた元県議(故人)の関連事業が失敗した要因が大きく、また、この関連事業融資を受けるにあたり、同協同組合傘下の64の企業組合を迂回融資させているが、これは、協同組合職員が預かっていた企業組合組合員のハンコを勝手に使い、債務確認公正証書も偽造したものであることが裁判判決でも認められていると紹介している。 ところが、それにも拘わらず、書類が揃っている以上、一部でも訴訟に勝てる(判決は被告に2割負担)と踏んだRCCは提訴。その読み通り、187人の組合員に総額約9億3000万円の支払い判決。北氏はその何人かの組合員を訪ねているが、そのなかにはショックで認知症(痴呆症)になった菓子職人もいたという。 一方、RCCが金融機関のクズ債権を1件1000円で買い取りながら、国策会社であることを背景に債権回収を強行し、1件実に614万円の利益を上げている事実も紹介。また、これからは「取立」より「再生」が企業テーマだが、RCCのその実績は対象会社のわずか0・09%の過ぎないとのデータも上げている。 さらに、この現実に対するRCCの主張も取り上げ、「不良債権処理が峠を越し、健全金融機関からの買取が終了したいま、民間サービサーにない特権を持った『国策借金取り』の存在理由は見当たらない」と断じている。…