アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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元「フライデー」名物記者・新藤厚(右翼)の続・貧困記 第17回「白露」

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新藤厚 1951年生まれ(73歳)
1971年 週刊誌記者
79年~84年 テレビレポーター (テレビ朝日・TBS)
84年~99年 「フライデー」記者
99年~2008年 信州で民宿経営
2013年より生活保護開始(24年後半より脱出)

秋雨前線のそぼ降る雨が、しらつゆを運んできた。
いつまでも去らない晩夏の暑気が、初秋の前に居座っているふうでもあったが、ようやく爽やかな秋風の吹く時候がやつてきた。
この季節にはいつも吉本隆明のむかしの詩を思いだす。

九月はしるべのなかった恋のあとの月
すこし革められた風と街路樹のかたちによって
こころよこころもまた向きを変えねばなるまい  (恋唄)

腰部脊柱管狭窄症の手術で7日間入院していた。
手術は成功して、いまのところ足のシビレはまったく出ない。
「シビレはもう死ぬまで出ません」と田舎の名医は胸を張った。ホントかね。
本来は抜糸まで9日間の入院予定だつたが、「はやく退院させてくれ」とゴネて早期釈放してもらった。
その理由は入院費用である。
4人部屋の差額ベッド費用とクソまずい病院食は保険が適応されない。
あんな待遇で一日の入院費用が2500円もかかるという。
貧乏患者には深刻な出費である。
そのうえオーダーメイドで3万円もするコルセットを強制的に作らされた。
手術の翌々日からはそのコルセットを巻いて病院の廊下をゆっくりと歩くリハビリをはじめた。
その間に血液浄化の透析も、これはやらないと死んでしまうので病室から通った。
術後5日もすると患部の痛みも半減したので、経済的事由による診療抑制の気持ちがつのった。
1日2500円の入院費用に気が重くなったのである。
そんなワケで3日はやく「仮釈」にしてもらった。7500円の節約である。
クソ暑い炎暑の町を、入院荷物を手にプアハウスまで約3キロ40分ほど歩いて帰宅した。
タクシー代をケチって腰の痛みに耐えたのである。
経済とは肉体的負荷を強いるものである。

石破内閣の最期に内閣支持率と石破支持率(辞めなくてもよい)の数字が奇妙に上昇した。
新聞には自民党内の政争に対する国民の嫌気反感が反映したと書いてある。
貧乏人の受け止めはちょっと違う。
内閣が変わったら、選挙公約だつた年末の「貧乏人給付金2+2万円」が反故になるというアンダークラスの悲鳴がこの数字に加算されているのではないかと直感している。
そのカネを越年資金にしようとひそかに期待している貧乏人がどのくらいいるのか。
そこに為政者の想像力は及んでいないのではないか。
「もうすぐ死ぬ人」である引退した貧困老人はまだいいのである。
現役世代は悲惨である。
橋本健二の『新しい階級社会』によるとアンダークラスの実情は全労働者の14%890万人、個人年収216万円、相対的貧困率37%という惨憺たるものである。
その収入では「とても結婚などできない」という男性の未婚率は75%という衝撃的な数字である。
ふつうに働いていれば、どんな不細工な男でもどんなブスでも必ず結婚できたという昭和経済成長期の「皆婚社会」とはいまや神話である(自慢じゃないが小生など4回も結婚している)。
つまりアンダークラスには子供がいないから、世代連鎖による再生産はされない。
しかし経済界は非正規低賃金使い捨ての奴隷労働者を必要としているから、数は減らない。
ほかの上部階級から落ちてくる労働者、中間層を吸収して膨張する。
しかもアンダークラスはいったん吸い込まれたら出てこれないブラックホールと化しているという。
いまや日本の「象徴天皇階級制」の実態は凄まじいことになっている。
「格差」がこの国を分断し、衰亡に導いているのは間違いない。
今度の総裁選候補者のなかで貧乏人給付金を実行するつもりがあるのは、林芳正と小泉進次郎ぐらいだろうか。
むかしだったら田中派の得意な福祉政策だったのに、その末裔(茂木敏光)はいの一番に公約の反古を言明している。

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