アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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元「フライデー」名物記者・新藤厚(右翼)の続・貧困記 第15回「立秋」

*以前の記事はこちらをご覧下さい(ココをクリック)。
新藤厚 1951年生まれ(73歳)
1971年 週刊誌記者
79年~84年 テレビレポーター (テレビ朝日・TBS)
84年~99年 「フライデー」記者
99年~2008年 信州で民宿経営
2013年より生活保護開始(24年後半より脱出)

朝ぼらけ、飼い犬の「くぅんくぅん」という情けない鳴き声で目覚める。
ヒトの年齢でいえばとうに120歳を超えているという21歳半の超老犬が、自分で立ち上がれず起こせと催促している。
尻尾を引っぱって立たせてやるとオムツに脱糞する。
すでに目は見えず耳も聞こえず匂いも分からず、歩くこともままならないが、ないメシだけは食ってしぶとく生きている。
昼はオシメ、夜はオムツで下の世話をしている。いわゆる「老々介護」である。
貧困世帯ではドックフード、オシメ代の経済的負担もバカにならない。
だからといって愛犬家でなくとも、どこかに投棄してくるわけにはいかない。
どうやらお互いに「こいつよりは長生きするぞ」と思っている風でもある。

立秋を過ぎた途端に前線が居座り、西日本に豪雨災害をもたらしている。
夏の猛暑で列島近海の海水温が異常に高まっているから、降雨量も尋常ではなくなる。
つい40年前まであった穏やかな四季の移り変わりなど、もう望むべくもないのかもしれない。
盆前だというのに信州はいっぺんに秋が来たようで、半袖では肌寒いような気候になった。
数日で暑さはぶり返し残暑となったが、大気が入れかわり乾いた風が吹くようになった気がする。
朝晩のひんやりとした涼風は、信州更科の立秋の候である。
この夏の異常な高温多湿で、老人の体力は大いに削られた。
脱力感、倦怠感でなにもする気がしない。ぐだぐだと横臥するばかりだった。
70歳を過ぎて透析をはじめた患者の5年後の生存率は5割(半数は死んでいる)という「平均余命」まではまだ1年余りあるはずなのだが、この無様な草臥れようではそれまで持つとも思えなくなってきた。
完璧主義の老人としてはいまだ身辺整理が完了していないので、もう少し生存時間にゆとりがほしい。
そういうときはふだん無縁の神仏にお願いするしかない。困ったときの神頼みである。
長野市の裏山である修験の聖地、戸隠神社に参拝に出かけた。
宝光社の長い階段を登って参拝し、護摩木に「あと2年生存。宜しく」と端的な希望を書いて奉納する。
次いで観光客でにぎわう中社に移動し、賽銭をはずんで参拝する。
正式な作法は五社巡りなのだが、いつも簡便ファーストな三社で済ませている。
ところが奥社への参道入口の駐車場は、観光客の人混みで満杯だった。奥社は諦めざるを得ない。
何年か前に吉永小百合が、JR東日本のCМで情緒ある杉木立の古参道を歩いて以来、観光客が急増し、夏場はとてものんびり歩くことができなくなった。
戸隠に来たら旨い蕎麦を喰いたいのだが、ざる蕎麦でも1200円もするので貧乏人には手が出せなくなった。
もはや一流観光地では外食は不可能である。かなしい。

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