アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第141回「アナログでアバウトな1972年」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 先日観た『セプテンバー5』(ティム・フェールバウム監督)は、なかなか深い映画であった。1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピックの選手村で、パレスチナゲリラの「黒い九月」がイスラエル選手団9人を人質に取る。結果、移送中の空港での西ドイツ警察の発砲や自爆で選手団は全員死亡という最悪の結末となった大事件だ。
当時、こちとら19歳でテレビのニュースを夢中になって観てたっけ。映画の主役は、アメリカABCテレビのスポーツ局クルーで、本国にいる報道局に負けじとスクープを狙って動き出す。映画では実際のニュース映像以外は、ほとんどスタジオの中だけで進行する。観終わって思ったのは、1972年は本当にアナログでアバウトな時代だったってことだね。
 この年、衛星中継が完備して現地の状況がお茶の間に放映されるんだが、まだ携帯電話もパソコンもワープロもハンディなビデオカメラもない。電話はダイヤル式、現場とは無線機(トランシーバー)でのやりとりのみ(何かと途切れる)。タバコはどこでも吸い放題。現場の取材班は16ミリフィルムで撮影する。警察が選手村を閉鎖したというので、アスリートに扮したカメラマン(身分証も適当にでっち上げ)がなんと服の下に、フィルム缶をガムテープで巻きつけてこっそり潜入する。

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