●「産経新聞」が一面トップで報道 現状では実質、旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器の処理は、パシコンが仕切ることになっているとの指摘は、すでにこの連載の14回目、6月16日の「内閣府と遺棄化学兵器処理機構との怪しい関係」タイトル記事で報じている。 その利権規模は約2000億円とされていた。 他の記事との兼ね合いで報告が遅くなってしまったが、6月22日の「産経新聞」(左に掲載)は、その規模は2000億円どころか、中国案では今後、最大1兆円超に膨張する可能性もあると、一面トップで大々的に報じている。 もっとも、処理の安全のために、それだけのコストが必要というのであれば、それもやむなしと思うのだが、問題は、その結果、もっとも利益を得るのは、この処理を専門に行う株式会社「遺棄化学兵器処理機構」をグループ傘下に持つパシコンであるという事実だ。 ●パシコン側へ中国での巨大利権を持ち込んだ人物とは? そして、先の「産経新聞」記事と共に興味深いのは、翌23日のやはり同紙の「産経抄」なるコラム(左掲載)。 そこに記されている「大半を公開入札ではない随意契約により、無名企業がたった一社で受注している」の“無名企業”とは、もちろん、「遺棄化学兵器処理機構」のことだ。 同コラムでは、続けてこう述べられている。 「遺棄化学兵器の処理には強い異臭が漂っている。一刻も早くニオイの元を絶たないと、国民は所得税の増税のうえ、『化学兵器処理税』も負担させられかねない」。 さる事情通氏によれば、そこで、いま関係者の間で再び注目されているのが、そもそも外務省管轄の財団法人「日本国際問題研究所」の客員研究員で、その後、遺棄化学兵器処理機構の幹部に転じた人物。同社社長はお飾りにすぎないという。 もともと中国における遺棄化学兵器処理は、この日本国際問題研究所で検討されていた。それが、いつしかパシコン傘下の遺棄化学兵器処理機構が設立され、そちらにすべての関連業務が移管されてしまったという。そして、それはこの幹部の人脈、政治力の賜との指摘がされているのだ。実際に遺棄化学兵器を処理する中国人民軍へも深く食い込んでいるとも。 仮に中国人民軍の責任者と組めば、彼らの給料は中国政府が出しているから、基本的に人件コストはタダで、したがって、経費を操作し、利益を誤魔化すことは簡単とも。また、そもそも彼らの人的コストの低さを思えば、約2000億円ともいわれる当初の見積もりさえ巨額過ぎるとの指摘も出ている。…