●6月下旬、NON!「共謀罪」の本が晶文社より発売 国際犯罪組織やテロ対策として国連で00年10月に採択された「国際組織犯罪防止条約」――わが国もこれに署名したことから、これに国内法を合わせるということで、「共謀罪」の法案が速ければ今週にも国会で審議入りする。 この法案、実にとんでもない。 近代刑法は当然のことながら、「行為」を罰する。頭の中では何を思おうが罰されることはない。 ところが、「共謀罪」は既遂、未遂、予備より前、やろうと「合意」しただけで逮捕され、最高懲役5年になる。 人間、「合意」しても思い止まることもある。また、言葉では「合意」しても冗談ということもある。 だから、すでに「共謀罪」が成立している米国でも、ただ「合意」しただけでは逮捕されない。武器調達の電話をするなど、何等かの準備行為をした事実が必要なのだ。 ところが、わが国の法案では、その必要がない。 しかも、そもそも「共謀罪」は国際的な犯罪集団を取り締まることが目的だったのに、同法案の「団体」は何等定義が無く、一般の会社、労働組合、市民団体、サークル、挙げ句は2人いれば団体とみなせる。 要するに、条約をこれ幸いに、すべての国民を監視(当然、「合意」の証拠を得るために盗聴、盗撮が氾濫、スパイが横行することになる)、必要なら逮捕できるように、世界でも例を見ない拡大解釈できる法律を作っておこうという魂胆らしいのだ。 だが、これだけの例を見ない悪法案、しかも、3年も前から国会に提出されているにも拘わらず、まだ一度も審議入りしていないこと(といっても、与党は過半数を握っているから審議入りし、強行採決すれば成立するのにだ)、「テロを容認するのか!?」とすり替えの批判を浴びるのが嫌なのか、大手マスコミも、そして野党もほとんど反対を叫んで来なかった。だから、未だに「共謀罪」という言葉自体知らない国民も多い。 かくいう本紙・山岡も、用語こそ知っていたものの、まさかここまで拡大解釈可能な法案とは知らず、関心を抱かなかった。 だが、この6月下旬に発売される単行本『「治安国家」拒否宣伝「共謀罪」がやってくる』(晶文社)に原稿依頼があり(もし共謀罪が成立していたら、武富士は警察と懇意だったから、山岡の方がデッチ上げ逮捕され、事件化しなかった旨の)、学習し、「何だ、これは!」と気づいた次第。 ●本誌・山岡、明日発売の『サンデー毎日』で「共謀罪」についてレポート そこで、企画を持ち込んだところ、幸い通り、明日(火曜日)全国発売の『サンデー毎日』で2Pの記事になった。タイトルは「共謀罪が成立していたら、私も逮捕されていた。超監視社会の到来。話し合うだけで“御用”!?」。 こんなささやか、かつ、基本的な内容だが、それでも「共謀罪」を取り上げた記事はこれまでほとんどなく、前出の単行本と共に、少しでも多くの方に目を通していただければ幸いだ。 なお、「共謀罪」に関する本も、すでに出ているのは下記の1册のみ。(社会評論社。1800円+税) それにしても、法律家からはほぼ誰もに「近代刑法を否定する」といわれる悪法にも拘わらず、これまでほとんど報道されて来なかったこの事実は、いったい、どういうことなのか。 わが国の状況に、暗たんたる思いになるのは本紙だけではあるまい。…