アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

記者クラブ制度を考える訴訟で寺澤有氏、「この制度は世界の非常識。情報カルテル」と喝破

●韓国では記者クラブ制度が廃止に 6月8日、東京地裁において、「記者クラブ制度を考える訴訟」の原告である、フリーライター仲間・寺澤有氏の証人喚問があり、同氏は具体例を上げ、同制度がいかに時代遅れであり、また、国民に真実を知らせる上で逆に障害にさえなっているか、生々しい証言を行った。 例えば、寺澤氏は過去、「日本外国特派員協会」で朝日新聞OB2人、NHKOB1人と記者クラブ制度についてシンポジウムを行ったことがあるが、その席で見学者から「情報カルテルではないか!?」と指摘され、その法的根拠を問われたが、NHKOBは「根拠はない」、他のメンバーはただ首をかしげるばかりだったという。  また、『フォーブス』アジア太平洋支局長のべンジャミン・フルフォード氏が単行本『日本マスコミ「臆病」の構造』(04年。宝島社)を執筆するにあたり、取材を受けた事があると紹介。そのフルフォード氏は、前出のシンポジウム、同じく、同協会で行った武富士問題のシンポ(本紙・山岡も参加)も取材する等、なおさら我が国の記者クラブ制度をよく知るが、その同氏をして、「記者クラブ制度があるから真実が伝えられない!」と言わしめているとも明かした。 さらに寺澤氏は、これら主張は決して希なケースではなく、自分は英国、フランス、ドイツ、韓国などの記者から、これまで記者クラブ制度に関して数十回も取材を受けているが、皆、一様に「記者クラブ制度はおかしい」と言っているとも述べた。 なかでも注目されるのが韓国。 03年2月、盧武鉉政権発足後、「記者クラブ制度は日本の植民地時代の遺物」として、現在、同国では記者クラブは無くなっていると証言した。 一方、わが国の記者クラブ制度については、少なくとも東京地裁の司法記者クラブにおいては、自身、89年ごろからのべ数百回、同クラブで開かれる記者会見に出ており、そこでクラブ所属記者から不当な扱いを受けたことはないとし、マスコミ側より、むしろ裁判所の方がクラブ所属記者以外のマスコミに対応するのを嫌がっているのでないかと主張した。 さらに、弁護人に、わが国で取材活動している外国人記者も、記者クラブに所属していない(できない)が、クラブで行われる記者会見等で不当な扱いを受けていないかと問われ、少なくとも、「日本外国特派員協会」に加盟している記者については、外務省から「身分証」が交付されており、それがあれば各クラブの記者会見等に自由に出れると語り、「もっとも我が国で取材で差別を受けているのはフリーライターだ」と訴えた。 ●望ましい傍聴席確保の在り方につき、裁判長が質問 以上、約30分の尋問の後、検察側による反対尋問が同じく30分程度行われたが、寺澤氏が不当な差別を受けた(クラブ加盟社にだけ傍聴席確保、判決要旨交付)と具体的に挙げている東京地裁、札幌地裁での公判において、細々した事実関係を確認したのみで、特に見るべき内容はなかった。 この後、裁判長から、では、具体的に、裁判傍聴においては、どのような処遇を望んでいるのかとの質問があった。フリーライターはたくさんおり、彼らにすべて傍聴席を確保することなどできないのは当然。では、いかなる方法を取るのか、それとも、クラブ所属記者に特権的に傍聴席を与えていることを廃止した方がいいのかとの問いもあった。 これに対し、寺澤氏はまず、国民に真実を伝える代理人という立場から、傍聴席確保を廃止せよといってるわけではないとし、フリーライターにもその一部を割り当てるべきと主張。 例えば、地方新聞のなかには、週刊誌の部数を下回っているところもあり、それにも拘わらず、その地方の裁判所においては同地方紙は傍聴席を確保、一方、週刊誌記者が取材をする場合、割り当てが無いのはおかしいと述べた。 ただし、ただ部数が多ければいいというわけではなく、小部数でも貴重な存在のマスコミはあるし、単行本を書く上で必要不可欠な取材もあるわけで、これらに関しては、裁判長にその都度、個別に傍聴席を割り当てるか、判断してもらうのも一つの選択肢だとした。そして、クラブ加盟社の確保する傍聴席は現状、明らかに多過ぎるとして、そのいくらかを常時、加盟社以外のマスコミに回すべきとした。一方、判決要旨に関しては、ただ交付する数を増やせばいいだけだから、何ら問題ないとした。 そして、最後に爆弾発言ともいえる事実が明かされた。 最近、東京地裁の職員(本訴訟で具体的に差別を受けたと寺澤氏が主張している東京地裁分の相手方当事者)に面談したところ、先に北海道新聞の高田昌幸報道本部次長が提出した「陳述書」に関し、同職員は、「いい陳述書を出してくれた」と感想を述べただけでなく、「もう、フリーの方だけを排除するような時代ではないと思っています」と心情を吐露してくれたとも明らかにしたのだった。 本紙・山岡が傍聴した感じでは、奥田隆文裁判長は原告に好意的で、ただ門前払いではなく、何がしかクラブ制度に風穴を空ける判決文が出る可能性があるとの期待を抱かせてくれた。 なお、日本外国特派員協会の会長を務めたこともあるオランダの新聞社特派員、ハンス・ルフト氏も傍聴。関心の高さが窺い知れた。 次回公判は7月20日午前11時より(527号室)。先に「陳述書」を出している本紙・山岡の尋問が行われる。…

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