アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

八王子の公団欠陥マンション問題のさらなる疑惑

●工事監理機能が、なぜ働かなかったのか? 本紙は今年5月20日、「八王子の公団欠陥マンションで指名停止処分を受けた業者名」なるタイトル記事などを報じた問題だが、事はどうやら、建設を請け負った業者だけを批判しても始まらないようだ。 周知のように、都市再生機構(旧都市基盤整備公団)の東京・八王子のマンション45棟中、実に20棟もが立て直しを余儀なくされた件だが、では、これほど杜撰極まりない工事をしながら、なぜ、都市再生機構はそれを見抜けなかったのかということだ。 専門家からの情報提供によれば、官庁関連工事では、手抜き工事をやられると公的損失を来すため、少なくとも表向きは「設計」と「施工」、さらに「工事監理」の3つの担当者を分離しているはずだという。 「設計」は設計事務所、「施工」は建設会社、そして「工事監理」は「設計」担当以外の設計事務所が担当しているというわけだ。 「工事監理」とは、施工(工事)が設計図や仕様書通りにキチンと行われているかチェックする重要な業務。もし、工事に手抜きなどの不正があれば、施工業者(建設会社)にやり直しさせ、従わない場合には、建設主(今回の場合は旧公団)に報告しなければならない、と法的(建築士法)に定められている。 民間工事の場合、「設計施工」といって、設計から施工、さらに工事監理まで一括して建設会社が請け負うことが多い。しかし、これだと“身内”でやっているため、設計通り施工しなかったり、また、工事監理のチェック機能が働かないことが大いにあり得る。 では、八王子の公団マンションの場合、なぜ、工事監理のチェック機能が働かなかったのか? ●工事監理業者と公団側の癒着が根本原因か? そこで考えられるのが、確かに、工事監理は設計した事務所とは別のところが担当したものの、しかし、旧公団の“息のかかった”設計事務所(工事監理事務所)に発注したため、機能しなかったのではないかというもの。 情報提供してくれた、専門家はこう述べる。 「工事監理していた設計事務所に、公団側から天下った者はいなかったのか? 公団ベッタリの設計事務所は監理費用だけもらい、何もしなかった可能性がある。私が得た情報によれば、公団の工事では、最後までキチンと面倒を見たいことから、『タダでもいいから、工事監理もやらせてくれ』と頼んだ設計事務所もあったのですが、受け入れてもらえなかったそうです。そこまでしておきながら、実は癒着した工事監理の業者に仕事を回すため、断ったのが真相だとすれば……」 そこで、本紙は早速、都市整備公団に、八王子の欠陥公団マンションの工事監理業者はどこか、問い合わせしてみた。 ところが、都市再生機構は業者名は明かせないという。 でも、建設を担当した業者は明かしているではないというと、以下の旨の発言が戻ってきた。 「いえ、建設会社名も公表しておりません。うちが明かした建設業者は、あくまで指名停止にした業者名に過ぎません。八王子のご指摘のマンションは、名前や場所に関しても、一帯の不動産価値に影響を与えることが懸念されるので、公表しておりません」 つまり、指名停止としたから、建設会社名を公表したに過ぎず、八王子の公団マンション建設を担当した業者とは言っていないというわけだ。まして、指名停止等、何らかの処分を受けていない工事監理業者名を公表できるわけがないという理屈のようだ。 問題のマンションは、事がすでにこれだけ出ている以上、調べる気になれば簡単。しかも、購入された方は本当に気の毒だが、現状では、できるだけ事実を公表し、根本問題を探るのが最も重要なのに、この対応ぶりである。 もっとも、「情報公開制度」に基づき申請すれば、公表できるかどうか検討はするというのだが……。 「公団側は問題が表面化した際、“傾斜屋根でコンクリート工事が難しかった”と、建設会社側に立ったコメントをしていたが、いい加減にしろといいたい。あんなもの、500年も前のサンピエトル寺院のドームでも行われていた仕事ですよ。そんな言い分を聞くと、やはり、“身内”の工事監理の杜撰さという弱みがあるからこそ、建設会社側を庇わざるを得ないとしか思えませんよ」(前出・情報提供者) 本紙は「情報公開請求」をするつもりだ。 だが、如何せん、一人身で、まったくのボランティア活動といっていい現状では、行動に限界があるのはいうまでもない。問題の工事監理業者名をご存知の読者はいらっしゃらないだろうか。…

この続きを読むには有料購読の登録が必要です。

関連キーワード
検索

カテゴリ一覧