プロフィール 投資歴26年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は38,364円と、前稿比+301円(※前項+3038→ ▲885→ ▲1757→ ▲2397→ ▲1127→ +279→ +2329→ ▲13→ ▲219→ +134→ +196→ ▲158→ ▲141→ +558→ ▲7→ +301→ +867→ ▲2456→ +532→ ▲1377→ ▲519→ +2181→ ▲982→ ▲222→ +812→ +612→ +1590→ +739→ +407→ ▲212→ +386→ +2200→ +208→ +198(2023年12月4週))となった。※2024年8月5日先物30,380円あり。
日経平均先物9月限は35,296円となっているので、こちらは先週末からほぼヨコヨコだったことになる。
NYダウは、週間で+515ドル高となる41,175ドル(※前稿比+1162→ ▲239→ ▲852→ +301→ +288→ +624→ +257→ ▲31→ +561→ ▲210→ +113→ ▲384→ ▲933)。本年最高値は7月18日の41,376ドル。
ナスダック100は19,720Pと、前稿比+212P高(※前稿比+995→ +72→ ▲582→ ▲499→ ▲809→ ▲61→ +710→ ▲18→ +40→ 659→ +464→ +271→ +262)。2024年7月11日20,691Pが最高値。
先週金曜日のPM23:00、ジャクソンホールシンポジウムで、パウエルFRB議長は「政策金利を調整(利下げ)する時がきた」と、高らかに第一声を発した。
慎重な物言いを続けてきた同氏が、こんなはっきりとした発言をするとは露知らず。筆者は衝撃を受けたが、市場としても同様だったらしく、ドルインデックスはかなり大きく下がり、コロナ禍の前の、ちょうど景気後退が疑われていた、2019年後半時点まで戻っている。現在は100.7で、コロナ前は99くらいだった。
またこの声明で、完全に米国の一本調子の利下げの道筋が定まった観がある。現在のところ2026年末に向けて、年1%ずつ、政策金利は3%を目指すイメージだろうか!?
米国債もこの発言に反応し、8月5日(※米国時間は6日)の「すわっ! 米国の景気後退がやってきて株式なんてもうダメポヨ!」と、株の投げ売り大バーゲンだった水準までまたもや下がったものの、そこで落ちつき、結局は動かなかった。これを見た筆者は、「ようするに米国債は利下げを完全に折り込んだ」と感じた!
となると、ここから米国債の金利低下が起こらないのだとしたら、さらなるドル安は起こらない。よってドル円でも、円高には向かいづらいと考えている。
ここから、さらにドルインデックスが下がる展開としては、米国経済のソフトランディングがやっぱり無理で、景気後退に陥ることだろうが、そうならなければこれ以上の円高には向かいずらいということだろう。日本に関しては日銀の政策金利の引き上げが端緒についたばかりだが、1%程度までは、もう現在のドル円の水準にかなりの部分が折り込まれたとも考えている。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。
上記でむにゃむにゃ書き記したが、今週は筆者のポートフォリオで一番大きい「IS米国債20年ヘッジ」(2621)を、ここである程度売却する方針としたい。ただ先ほど、ヒズボラがイスラエルに320発のロケット弾を発射した報道が出た。米国債は地政学リスクがあると価格が上昇しやすいので、この行方を睨みながら、今週にかけて実行する方針だ。また米国の景気後退の臭いがしたところで、注目したい。
そして売却した資金で、銀行株を増やす方針を採りたい。世界の景気が悪化しないストーリーならば、日銀の利上げの方向性は確かなものだからだ。また、ちょうど9月末の中間配当に向けた資金も入ってくるだろうから、こちらは今週機敏に動きたいところ。注目銘柄としては「住信SBI」(7163)はあまりに強烈な戻りを見せてしまったため、「SBIHD」(8473)に注目するのも一興。傘下に「住信SBI」「新生銀行」を持つ。
また、円高自体がデメリットとなるが、半導体株が戻り切っていない今はチャンスである。おそらく市場は、29日(木)のAM5:20に決算発表される「エヌビディア」を待っていると思うが、これまで決算発表された大手半導体各社、そして生成AIの主要の取引先であるGAFAMなどのビッグテックが、いずれも「生成AIへの投資を活発化させていく」と口々に述べている以上、決算数字とガイダンスで波乱が起こる可能性は極めて少ないものと考えたい。よって、28日(水)までに弱含む局面があれば、筆者は積極的に、高性能半導体を手掛ける日本の大手半導体各社に注目する予定だ。
ここからは、年間で最悪のパフォーマンスのアノマリーがある【9月】を迎える。それでも本稿が今週以降の展開に強気なのは理由がある。
それは今回、日経平均株価が7月11日の最高値42,426円→ 8月5日の日経平均9月限の先物価格30,380円へ、-28.4%もの大暴落を見せたからだ。大暴落の直後ということは、すでに売りたい人のすべてが売り終わっており、あとは買い需要が戻ってくるのを待つだけである。そして従来20%を越えるような下げ局面が来れば、機関投資家の多くは保有資産の下げに抗えずに無条件で売却を選択するところが多いだろう。そして今回の暴落後の戻り局面では、いまのところ海外勢の買い越しの意欲がみられない(※テクニカルの項で後述)。