アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

前代未聞の欠陥公団マンション建設業者を指名停止にしない東京都を始めとする自治体

●公団マンション群46棟中20棟が建て替え決定 今日日、「欠陥マンション」と聞いてもそれだけで驚く人はそういないだろう。そのような悪徳業者は五万とある。 だが、この欠陥マンションが国民の税金をつぎ込んでいる極めて公的性格の強い団体が発注した工事においてとなれば、少しは関心が向くのではないだろうか。 おまけに、その欠陥ぶりが半端ではない。 コンクリートの厚さ不足、鉄筋の本数不足は当たり前。その結果、46棟のうち、実に半数近い20棟の建て替えが決まったという(内3棟はすでに建て替え完了、1棟工事中)。発言に慎重な国土交通省住宅局のお役人も、「これほどひどいケースは聞いたことがない」と認める。                                                   問題のマンションは東京都八王子にある。発注したのは都市基盤整備公団(当時)。現在、独立行政法人・都市再生機構。当時の建設費は約200億円だったが、今回の建て替えや改修には実に約600億円かかるという。 当然ながら、これら建設費は欠陥工事をやった業者が負担すべきというのがまともな一般人の考え。実際、再生機構はその600億円の支払いを請求したのだが、ほとんどの業者は「欠陥工事ではない」と言い張り、いままでに支払われた額はたった3億円ほどに過ぎないそうだ。 となれば、こんな業者については社名公表し、社会的責任を取らせてしかるべきではないだろうか。 だが、再生機構は自分たちの監督責任も問われると思ったのか、建て替え分に関わった15社中、社名を公表したのはわずか3社のみ。しかも、バブル時代で大手業者を確保できず、デザイン的にも難しい工事を出したと庇う有様。この4月1日、指名停止処分にしたものの期間は6カ月。さらに、「公団だから大丈夫」と購入した住民側が欠陥工事であることを証明するため、永久保存すべき「構造計算書」の提出を求めたところ、「紛失した」の回答。おまけに、新たに作成したとして出してきた計算書は欠陥の証拠隠しとしか思えない文書改ざんが数多く見つかったという。 こうなると、もはや再生機構も共犯といわれても仕方ないのではないか。 ●いまは独立行政法人だから、公共工事から締め出す理由がない!? さて、先に見たような前代未聞の悪質さ故、同じ東京都内の例えば渋谷区等自治体も指名停止処分にしている。だが、これはむしろ例外のようだ。 東京都を始め、23区や他の都内自治体の大半は、「独立行政法人という、民間の工事で起きたことなので対象外」として、指名停止処分にせず、いまもこれら業者は入札に参加し、受注もしているようなのだ。この5月中、約20億円の建設工事の入札を行うH市も同様で、受注にしのぎを削る中、他の業者からも「あれだけの欠陥工事をやるのは業者としてもっとも恥ずべきことだ」と、批判の声が出ているにも拘わらずだ。 「では、これまでの癒着が自治体側とあるのかといえば、H市のケースでいうと、最近、首長は自民党から民主党系に代わったから、そういうことはない。要するに、公金を使うのだから、慎重を期すという基本姿勢がなってない。逆に公金だからいいやという無責任体質故としか思えません」(ライバル業者) 前述のように、600億円の請求に対して支払いがない以上、その穴埋めは再生機構が行う。その再生機構は、前身の都市基盤整備公団時代も含め、この10年間で実に約2兆4000億円もの国庫補助、つまり、我々の税金が注ぎ込まれている。その実態、経緯はまさにしく公的団体なのだ。 なお、名前が公表されている3社は準大手の東急建設、中堅の東亜建設工業、北野建設のいずれも東証一部上場企業(先に欠陥が判明した4棟については東証2部上場だった大和建設、山岸建設、太陽建設。前2社はその後に倒産)。 なお、この問題に関しては『読売新聞』だけが今年4月1日朝刊一面(写真)で報じている(それ以前、一部欠陥マンションとわかった時点では『朝日新聞』03年6月21日、『週刊朝日』02年11月22日号が報道)。…

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