大手マスコミ既報のように、大手パチスロメーカー「ユニバーサルエンターテインメント」(6425。東証スタンダード。東京都江東区)の創業者で、元社長・会長の岡田和生氏(冒頭右写真。81)が、東京国税局から約50億円の申告漏れを指摘されていることがわかった。
岡田氏は資産会社「Okada Holdings Limited」という合同会社を2010年に香港に設立。同社は岡田氏と親族が株を持ち合い、その総資産は11年時点で約1000億円と見られている。
岡田氏がわざわざ香港に資産管理会社を置いたのは、わが国の法人税率が約29%に対し香港は約16%と大幅に低いためと思われる(個人の所得税は0%)。
ただし、わが国政府(国税局)も手をこまねいているわけではない。
富裕層に、こうした節税(?)をやられると、わが国の税収は減り、結果、一般国民の税負担が重くなりかねないなど数々の問題が起きる。
そこで、この間、「タックスヘイブン(租税回避地)対策税制」を設け、その強化を図って来た。
居住者、国内の法人などが計50%以上の株式を持つ(間接の場合も)外国法人については、現地での法人税率が20%未満で、事業実態がない場合は、会社単位の合算課税(外国法人の所得を日本国内の法人株主・個人株主が得たものとしてそれぞれ法人税、所得税を課税する)が必要になるというもの。
今回のオカダ・ホールディングスのケースでは、当時は居住者が計100%の株式を保有。現地の法人税課税率は20%未満の16%。そして事業実態がないと見做された。
結果、このタックスヘイブン対策税制は法人だけでなく、めずらしいケースではあるが、個人も適用対象にしている。また香港は所得税はかからない(0%)。そのため、岡田氏個人の場合、この資産会社の株式46%を保有しており、その割合に基づき、わが国の所得税割合で2020年まで3年間の所得を計算するなどしたところ、岡田氏は計約50億円の申告漏れなったという。なお、このOkada Holdings Limitedは67・9%で、ユニバーサルエンターテインメントの筆頭株主であり、岡田氏はユニバーサルからの株式配当も得ていたが、これについては所得として申告しておらず、その約20億円+前述の約30億円の計50億円となった。
もっとも、岡田氏はこれを不服として国税不服審判所に審査請求していたが、昨年末に棄却されたという。