プロフィール 投資歴25年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は40,064円と、前稿比-1,127円(※前項+279→+2329→ ▲13→ ▲219→ +134→ +196→ ▲158→ ▲141→ +558→ ▲7→ +301→ +867→ ▲2456→ +532→ ▲1377→ ▲519→ +2181→ ▲982→ ▲222→ +812→ +612→ +1590→ +739→ +407→ ▲212→ +386→ +2200→ +208→ +198(2023年12月4週))となった。
その後、米国はオプションSQであったものの…もう値崩れが止まらず、日経平均先物も39,590円まで下落して引けている。※本年高値は7月5日(金)の41,100円。
NYダウは、週間で+288ドル高となる40,288ドル(※前稿比+624→+257→▲31→+561→▲210→+113→▲384→▲933→+491→+837→+436→+254→+3→▲921→▲1465→+893→+762→▲9→▲364→▲45→+504→▲44→+18→+545→+245→+271→+127→+80→+81)。本年最高値は7月18日の41,376ドル。
ナスダック100は19,522Pと、前稿比-809P安(※前稿比▲61→+710→▲18→+40→659→+464→+271→+262→+385→+271→+172→+681→▲966→▲105→▲146→▲85→+531→▲210→▲285→+365→+252→▲276→+319→+222→+107→+481→+527→▲471→+154)。2024年7月11日20,691Pが最高値。
まず先々週の土曜日、米国大統領選挙の帰趨を決める、重要かつビックリするような事件が起こった。トランプ氏が銃撃されるも、銃弾は右耳たぶをかする程度の軽症で済み、早期に選挙レースに復帰したのだ。この事件で、もとより宗教国(キリスト教)の色合いが強い米国だからだろうが、「死地を乗り越えたトランプ氏、神に選ばれた男」と神格化され、ほぼ大統領選を決定づけてしまった。
現在のところ、民主党は「このままバイデン氏爺さんを候補として立てるか!?」で大揉めになっているが、ミッシェエル・オバマさん(※再三、固辞しているそうだ)が、立候補するのでなければ、誰が立っても負け戦になろう。
今稿がなんでこんな書き出しでスタートしたかというと、通常S&P500株価指数は米国大統領選挙がある11月を前にして、下落する傾向にあるからだ。厳密にいえば、7月~9月上旬まで株価指数は堅調に推移するものの、9月に入って弱くなり11月までは高確率というよりも100%、弱含むイメージだろうか。平均2%は調整する。S&Pは現在5,505Pなので110Pの調整のイメージだ。しかも買い意欲のない相場ほど難しいものはないことは、相場に携わる人間なら誰でも感じていることだろう。
何を言っているかといえば、今は民主党の大統領候補者の件で相場に多少の不透明感が出ているが、早晩大統領選の趨勢が決定的なものになれば、今年は9~11月の調整を考える必要がなくなるということだ。
そうなった場合、7月11日(木)に42,427円の高値をつけて、現値先物であるが39,590円と、1週間ちょいで-3,000円幅の大暴落となったわれらが日経平均株価指数。これの反発が近くにやってくる可能性が出てくる。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。
1週間でこれだけの調整をしてしまった日経平均株価が再浮上するのは、ここからしっかり底入れを確認する動きとならないと難しい、というのは極めて常識的で、確度が高い考え方。ここから下の支持線としては75日線である39,108円があるので、市場はこれで許してくれるだろうか?
また逆に、がっつり調整するパターンとしては42,427円が最高値だったため、10%引きで38,184円となる。ただ、その手前の38,500円あたりに出来高の集中帯があることから、この辺りで止まる方の確率も相当程度あることだろう。
※現在は不況入りすることを市場が織り込んでいないので、20%の大暴落は今のところ考えないでおこう。
現在筆者は、米国大統領選での民主党候補者が決定することを前提(ミッシェル・オバマ氏ではない場合)に、トランプ共和党のオールレッドへ突き進む方向性で、75日線である39,100円あたりで下げ止まって、また半導体株を中心としたサマーラリーになるのではないか?と考えている。
その根拠は、日経平均株価を先週一気に押し下げたのは、ひとえに日経平均株価の構成比率が高く、指数感応度が高い【半導体株】だったからだ。
先週末から今週末の人気半導体株の騰落は以下で、「アドバンテスト」は-5%安、「東京エレクトロン」は-12.7%安。ちなみに参考までに「NVDA」は-8.5%安、「ASML」は-17.5%安、「TSMC」は-11.2%安であった。
これに比べるとTOPIXは2,861Pで、先週比で-34Pと小幅安で、25日線(2826P)すら下回っていない。ようするに、ほぼほぼ半導体銘柄だけショック安となり、逆に東証グロース指数などは値上がりしているのだ。
そしてこの「半導体銘柄」の一斉暴落は、バイデン政権による「先端半導体技術を中国に提供し続けた場合、最も厳しい貿易制限措置を取る」の声明や、トランプ氏からの対中関税強硬政策、そして対中半導体規制強化の動きにより、もとより少しバブっていた感もあったことから警戒感からアルゴトレードが暴走連鎖した可能性が高そうだ。
特にトランプ氏の「米国の半導体ビジネスをすべて奪った」という声明は、ドキュン層にも響きやすいバカっぽい発言であり過激だ。仮にトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、副大統領に、対中といえばこの人!と言われるほど中国を敵視するヴァンス氏を登用したことからも、市場がこれにビックリした可能性もありそう。
ただ、トランプ氏という男は、言うだけ言って、最終的には落としどころを見つける現実路線のスタイルをとるため、実際のところは大丈夫だとは思うが、確かに現段階での市場の反応もわかるというもの。
そしてなんで筆者は今回の「ASML」の決算あたりからの半導体銘柄暴落連鎖が、今週に止まるか?と考えているかは明快だ。
その前の4月にも完全に同じことが起きたからだ。思い出してみたい。4月17日(水)「ASML」決算は文句のつけようのない内容だったが、SOX指数は-3.25%と暴落で反応。翌日の「TSMC」の決算も同様だったが-1.66%、そして4月19日(金)に同指数は-4.12%の暴落となり一気に底入れしたのだ。
そしてその後どうなったか!? ぜひ画像をクリックしてみていただきたい。
今回7月のSOX指数の下落率は-9.41%で、前回は-9%程度。前回のほうが先に下落を開始していたことを勘案するとほぼフィフティフィフティといっていいだろう。
ちなみに、先週に出た、世界的な半導体企業の決算の中身にも触れていきたい。