プロフィール 投資歴25年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は38,488円と、前稿比-158円(※前項▲141→ +558→ ▲7→ +301→ +867→ ▲2456→ +532→ ▲1377→ ▲519→ +2181→ ▲982→ ▲222→ +812→ +612→ +1590→ +739→ +407→ ▲212→ +386→ +2200→ +208→ +198(2023年12月4週))となった。
その夜の米国市場では、米国の「5月PCEデフレーター」がコンセンサス通りで発表されると、米国長短金利は下がり、日経平均先物も38,730円まで上昇して引けている。
※本年高値は3月22日の41,088円。
NYダウは、週間で-384ドル安となる38,686ドル(※前稿比▲933→+491→+837→+436→+254→+3→▲921→▲1465→+893→+762→▲9→▲364→▲45→+504→▲44→+18→+545→+245→+271→+127→+80→+81)。本年最高値は5月21日の40,077ドル。ナスダック100は18,537Pと、前稿比+271P安(※前稿比+262→+385→+271→+172→+681→▲966→▲105→▲146→▲85→+531→▲210→▲285→+365→+252→▲276→+319→+222→+107→+481→+527→▲471→+154)。先週が史上最高値圏であった。2023年の高値は11月22日の高値16,212P。
先週末金曜日に発表された「米国5月PCEデフレーター」は、消費者の購入ベースでの数値であり、これが実際のインフレ感に一番近いとともに、FRBが金融政策を行う上で最重要視する指標である。
それがなんと前月比+0.2%(※年率2.4%)とコンセンサスの+0.3%を下回って発表された。しかもこれ、インフレ調整すると実際のところは-0.1%減だというから、とうとうインフレの収まりを実感できるようになったといえるのだ。
まぁ、それもそのはず。先週は、米国の1Q(1-3月)のGDP改定値が+1.6%と、正式発表であった+1.3%から下方修正されてしまったり、そもそも2023年12月時点での予想コンセンサスは+2.7%だったわけで、急速に米国経済がシィリンクしている様子がわかるのだ。
また先週には「米国4月中古住宅販売件数」の発表もあったが、コンセンサスが前月比-1%だったところ、予想外となる-7.7%と発表された。これは2020年4月のコロナショック以来の落ち込みだということで、この理由は7%近い金利の住宅ローンにあるということなので、このまま米国の景気が失速してしまう可能性は高くなってきている、と考えておきたい。
ただ、くだんのPCEデフレーターにしても、前年同期比ではいまだ+2.8%の数値であるので、FRBが目指す+2%までは遠い道のり。ただ前述した通り、もう経済のほころびが顕在化してきていま、そろそろ利下げに向かわないと、オーバーキルとなり、米国経済は加速度を増して悪くなる可能性があるとも考えておきたい。
そして、そんな景気減速懸念の経済化において、投資家に確実に利潤をもたらしてくれるのは、やはり米国債券なのだろう。
現在の米国の2024年度の利下げ見通しは、いまだ年1.4回くらいであるものの、前述したようにこれは楽観的過ぎる見通しだと筆者は考えている。そもそも2025年度以降に関しては、特に先行きの見立ては変わっておらず、2025年12月末の政策金利予想は3.75%(6回分)、2026年12月末には、3%(9回)がコンセンサスとなっている。
こう動けば、債券価格というものは、残存期間が長いものほど価格の変化が大きく、仮に米国債権20年ものだとすると、金利1%の低下で、20%程度の価格変動が起こると計算できる。ようするに、米国が景気後退になって2%金利が下がれば、40%近い債券価格の上昇が見込まれるのだ。ここから利上げさえなければ、甘美な瞬間はこれから確実にやってくるだろう。
今週は、経済指標が大量に発表される週でもあるので、金利の流れはとにかく確認しておきたい。FOMCは6月11日の深夜(水)である。
さて先週の相場のトピックスだが、水曜日のAM9:30頃、日経平均株価が39,142円の高値をつけると、そこからジリジリ安が止まらなくなり、翌日木曜日の前場には37,368円の安値をつけた。これは1日半で、値幅1,774円もの価格変動であり、投資家のメンタルは破壊されてしまう。
困ったことに筆者は、週明けの月曜日に東証グロース先物が底入れして上昇したかのような動きをみせたことから、釣られて打診買いの蛮行を犯しており、水曜日に大慌てで、日経平均先物6月限を38,920円でリスクヘッジのための売り玉として保有することにした。
すると、その夜の米国市場では「米国5月消費者信頼感指数」が発表され、インフレが止まっていないかのようなムードとなり、円安になっているにもかかわらず、さらに株価指数はジリジリ安が続き、フィナーレは、大引け後の米国企業「セールスフォース社」の決算がまずく発表され、この影響が木曜日の朝まで続いた。