アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<12年ぶりの復活連載>元「フライデー」名物記者・新藤厚(右翼)の貧困記(生活保護老人のノスタルジックな日々)第3回「たけしのフライデー襲撃事件」

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新藤厚 1951生まれ(73歳)
1971年 週刊誌記者
79年~84年 テレビレポーター (テレビ朝日・TBS)
84年~99年 「フライデー」記者
99年~2008年 信州で民宿経営
2013年より生活保護開始

いつものことだが生活保護費が出ても半月もすると食費が底をつく。ストック食品があればいいのだがそれもなくなると毎日朝晩ふりかけ(のり玉)飯ばかり食っている。一週間もつづくとさすがにみじめだ。かなしい。籠の中の小鳥にでもなったような気がする。
そんなときに山岡から過分な稿料を貰ったのでスーパーで298円の弁当を買って久しぶりに副食つきご飯を食べた。人間の食いものという気がした。旨くて涙がでた。
記録的な暖冬とはいうが信州の春はおそい。いまだ朝晩は氷点下の日がつづく。老人は寒さに弱い。そのうえ致命的にたんぱく不足の栄養不良だから身体があたたまらない。灯油をケチるから室内でも低体温症のリスクにさらされている。寒い季節は貧乏人の辛さを実感する。
何度も書くが才覚のないフリーライターの末路などこんなものである。むかしフライデーで一緒だった記者でも(名前は出さないが)知るだけで4人が生活保護で食っている。
マスコミの底辺であるフリーランスの週刊誌記者の老後は悲惨である。所得は国民年金しかない。貯蓄の心得や堅実な市民生活などとは無縁の風来坊だったからそんな無頼仕事しかできなかった。だからナマポはなかば約束された未来だったわけである。

毎年、春の彼岸の頃には上州に梅見に出かける。この20年来大好きな春の行事である。軽トラを借りて19歳の老犬をお供に今年も高崎の三郷梅林に観梅に出かけた。
上信国境の峠を越えると景色の色合いがかわる。気温も一気にあがる。すがれた灰色一色の景観から梅、紅梅、蝋梅、マンサク、サンシュ、河津桜、菜の花、福寿草、水仙の花々が目に映る。
山国から一歩出ると遠く首都までつづく関東平野の広大なパースペクティブが新鮮である。空の広さにこころを奪われる。
満開の梅林を散策する。馥郁たる香りに酔う。花に思いを託するなら桜よりは梅だと思うようになったのは還暦を過ぎてからだった。老人になる愉しみのひとつがある。梅の木の下で持っていった握り飯をほおばる。寝転がって茨木のり子なんかを読む。
「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」
ふと「貧乏人をして平地人を戦慄せしめよ」などという老いた声もきこえる。穏やかな春の午後、樹下の妄想もまたステキである。こういう時間は大いに楽しみたい。
帰りにキラキラとした妙義神社に参り妙義温泉もみじの湯につかる。
気保養の遠征費用。軽トラレンタル500円。ガソリン900円。温泉(障碍者割引)350円。土産の梅干250円。久しぶりのちょっとした豪遊だったが貧困老人にも季節のアミューズメントは必要なのである。

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