報告が遅くなったが、不動産投資の「アルデプロ」(8925。東証スタンダード。東京都新宿区)は2月16日、監理銘柄(審査中)に指定された。
同社は2023年9月、社外調査委員会が「調査報告書」を開示。その内容は、代表取締役の主管であった不動産売買が、循環取引の一部を構成するものだった。また、その循環取引に関し実態のない売上高、売上原価及び営業利益を計上する会計処理を行い、23年7月期第3四半期の決算短信は虚偽開示をしており、実際の売上高は5割、営業利益は2割以上低かった。
さらに、そんなことになったのは、代表取締役の主導する複数の不動産取引が、同社の大株主により実質的に支配されている合同会社を相手とする取引だったにもかかわらず、当該不動産売買に係る適時開示資料では相手方と資本関係及び人的関係がないとしていた。
こうしたことは上場規則に違反していることは明らかで、アルデプロは23年11月30日から「特設注意市場銘柄」の指定を受けていた。
また、東京証券取引所より、上場契約違約金2880万円の支払いを求められる事態に。
特設市場銘柄入りすると原則、1年間の改善期間中に、東証の審査を受け、内部管理体制が改善したことが認められなければ上場廃止となる。ところが、アルデプロは今年2月15日、この改善計画書の策定を、当初3月上旬に行う予定だったが断念したとIRした。
そのIR内容を見ると、日本取引所自主規制法人から、上述のように、大株主の意に従う代表取締役はむろん、他の現取締役(大株主は現在取締役にもなっている)も全員退任させないと内部管理体制の改善は無理との旨の指摘を受けたが、これらの属人的な人脈やノウハウにアルデプロの経営は大きく依存しているから、その全員を退任させたら事業継続自体が困難になるからと改善計画策定を断念したという。
自分たちが株主を裏切り、上場規則に違反しておきながら、日本取引所自主規制法人が無理強いすると言わんばかり(実際の表現は「極端な示唆」)だが、その結果、冒頭に述べたように、2月16日、アルデプロは監理銘柄入り。もはや、上場廃止は必至といってもいいだろう。
実際、同社株価は同日を持って100円以下に。
ここでハッキリ言うが、こんな状況をもたらしたのは、大株主(40・5%)=秋元竜弥氏(冒頭右写真。創業者で元社長)と、その子飼いで言いなりの椎塚裕一社長(同左写真)である。
しかも、そんな状況は、上述の23年7月期第3四半期だけでなく、長年に渡り続いていたと思われる。
本紙では告発を受け、2018年から19年にかけアルデプロの疑惑につき精力的にレポートしていた。
そのなかで、すでに複数の社名も上げ合同会社を使ってアルデプロの不動産売上高の水増しだけでなく、秋元氏個人に利益を流している疑惑を、実際の取引案件を紹介し詳しく解説していた。