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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第110回「ロケ弁の世界」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

こんなドキュメンタリーもありか!と感心したのが、11月10日から公開中の『映画の朝ごはん』(監督・志子田勇)だ。
ここでいう「朝ごはん」とは映画やテレビドラマのロケ先で出る弁当のこと。ロケ弁の世界ではおなじみと言われる練馬の弁当屋「ポパイ」が主人公なのだ。
特に評判なのが、朝ごはん向けのおにぎり弁当で、いろんな具が選べるおにぎりが二つと、たくあん、から揚げかゆで玉子というシンプルな組み合わせ。
「ポパイ」の本格稼働時間は深夜から早朝にかけてで、千食分くらいの米を炊き、各々のパートのプロたちが弁当をつくり上げる。東京では、映画もテレビもロケ隊が集合する場所は大体決まっていて、今は新宿西口の郵便局の周辺だという。そこに連日、多くのロケバスが停車、朝の6時~7時頃にスタッフやキャストが集合して、それぞれのロケ地に向かって出発。その出発に間に合うように「ポパイ」の配送車が届けるというわけだ。
ここのロケ隊に80食とか、あちらのロケ隊に60食とかいう感じで弁当が運びこまれてゆく。ロケ場所によっては、1日3食すべて「ポパイ」の弁当ということもある。それだけに味、値段、信用は絶大なものがある。映画では、第一線で活躍する監督やベテランのスタッフが次々に登場し、「ポパイ」の弁当の素晴らしさをほめたたえる。
それで、この映画のどこが「田沢竜次の昭和」かというと、実はこちとらも1979年、26歳の頃、テレビCMのプロダクションで制作進行をやっていたことがあり、ロケ弁の手配も担っていたのだ。制作進行とはプロデューサーの一番下っ端で、要はありとあらゆる現場の雑用をこなす、大変な業務である。なかでも弁当手配は必須の仕事だったのだ。

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