アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「学研HD」社長、組合が「3億円恐喝しようとしている」旨虚偽発言で一審敗訴(控訴)

 3月7日、東京地裁で判決言い渡しがあり、藤澤裕介裁判長は「学研ホールディングス」(9470。東証プライム。東京都品川区)に対し11万円の支払いを命じた(これに対し、学研HD側は控訴)。
事の起こりは、2021年12月24日の学研HDの定時株主総会で、原告の労組執行委員長が株主として、組合側との話し合いの場に出て来る考えはないかと質問したところ、被告・学研HDの宮原博昭社長(冒頭写真。64)は、「会社として、金額としては3億ぐらい言われているわけなんですけれども」と述べた上で、金銭要求に応じる意向はないことを説明した。
これに対し、組合側は、学研HDによる金銭解決の申し出を固辞して来ており、金銭要求をしたことは一切ないにもかかわらず、株主などに対し、組合側が争議を通じ、ゆすりたかりをして不当に金銭を要求し、もって3億円を恐喝しようとしているかの印象を与えるもので、組合側の社会的地位を低下させるとして学研HDだけでなく、宮原社長個人も相手取り165万円の損害賠償請求を提起していた。
 判決は、組合側は金銭要求、まして3億円の支払を要求した事実はうかがえないどころか、かえって、学研HDによる金銭解決提案を拒絶していた経過がこれまでの訴訟の認定事実から読み取れるとした。
にも拘らず、160万円の請求に対し11万円となったのは、判決文によれば、原告は組合だけでなく組合を支援する団体も含まれるが、支援団体も3億円要求していると解することはできない。また、「原告労組の活動が被告会社に対する正当な争議行為または組合活動ではない旨の司法判断が既に確定している」ことなどを踏まえると10万円(1万円は弁護士費用)が相当としたためで、宮原社長が組合の要求内容を知悉しながら3億円の発言に及んだこと、過去の株主総会でも金銭要求を受けているという発言を繰り返していたことなどから「悪質というべきである」とした。
それにしても、前述の「原告労組の活動が被告会社に対する正当な争議行為または組合活動ではない旨の司法判断が既に確定している」とはどういうことか?

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