環境省と経済産業省は3月23日、賃貸アパート大手「レオパレス21」(8848。東証プライム。東京都中野区)に対し、賃貸物件に設置したエアコン、テレビなどの廃家電を破棄する際、適切な処理を行わなかったとして、「家電リサイクル法」に基づく是正勧告を行った(冒頭写真。右人物はレオパレスの宮尾文也社長)。そして、今後1年間、再発防止に関する報告を定期的にするように求めた。
家電リサイクル法では、賃貸住宅の管理者=レオパレス21が「小売業者」に該当する。そして小売業者が、廃家電の引取り、家電廃棄時の家電リサイクル券の交付・管理・保管などの義務がある。ところが、レオパレスは家電リサイクル券を発行せず外部業者へその一切を丸投げし、家電リサイクル法第9条の取引義務に違反していた。その違法な処理は2020年4月から22年8月までで、その違法に廃棄された家電数は9万9440件確認されたという。
環境省で勧告を受けた後、レオパレスの宮尾社長は取材に答え、「小売業者に我々が該当するという理解がなかった」旨、答えている。
これだけ見れば、法の理解不足のために家電リサイクル法に違反してしまった「不可抗力」だし、その不法廃棄物は約10万件で、これ以上のものはないかのような印象を抱く。だから、罰金なども科せらず口頭注意みたいなもので済んだとの印象を一般読者に抱かせる。
だが、宮尾社長の「小売業者に我々が該当するという理解がなかった」旨の答えは、「虚偽」と思わないわけにはいかない。
なぜなら、この不正に気づいた取引業者が2017年段階でレオパレスに進言し、翌18年4月には当時の深山英世社長に報告書が提出されているからだ。
また、今回の処分対象期間がなぜ20年4月から始まり2年4カ月ほどに限られるかも不明だ。
深読みすれば、キチンと処理していたと証明するリサイクル券関連などの保管義務は3年なので、今から遡り3年前の20年4月から、環境省などが立ち入り検査に入ったのが昨年9月1日だからに過ぎない。実際はずいぶん前から違法な処分は行われ、しかも現在もなお行われている疑いさえあるのだ。