アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第88回「『金魂巻』の1984年」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 こないだ新聞記事に『金魂巻』のことが出ていて懐かしかったよ。『金魂巻~人気職業31の金持ビンボー人の表層と力と構造』(1984年。渡辺和博とタラコプロダクション著)という大ベストセラー本で、マル金(〇金=金持ち)マルビ(〇ビ=貧乏のビ)が、第1回流行語大賞になった。コピーライター、イラストレーター、ミュージシャンといった最先端職業を「金持ち」と「貧乏」に分類し、イラストで面白おかしく観察したもので、軽薄ノリノリの80年代日本の社会風俗批評としても冴えていた。
1984年といえば、来年で40年。84年時点から40年前といったら太平洋戦争のさなか!だよ。まあそれだけ時が経ったというわけだが、なんだかついこないだみたいな気がするんだけどね。この年はまだ30代になったばかりで、フリーになって2年目。出版―雑誌の世界も盛り上がっていて、これがトレンドだ、何が若者に受けるか、なんてお祭り騒ぎだった。
 飲み屋では『金魂巻』をサカナに、「あいつは〇金、こいつは〇ビ」「あの雑誌の仕事しているのは〇金、この雑誌は〇ビ」なんて、ほざいていた。身近なところで、編集者とフリーライターは区分けが分かりやすかった。例えば、古びたショルダーバッグをパンパンに膨らませて歩いている(本と雑誌とゲラの束とかが詰め込まれている)のは〇ビ、居酒屋でとりあえずビールと枝豆・煮込みを注文して、締めに焼きそばなんていうのは〇ビとかね(いまだにそれだ)。

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