アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第73回「加山雄三の光と影」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

加山雄三(85歳!)が今年の秋に引退コンサートを行うなんて新聞に出てた。加山雄三っていろいろあったけど、光=黄金の60年代と、影=どん底の70年代にくっきり分かれるんだよ。そこであらためてその光と影の対比を考えてみた。
 こちとら初めて加山雄三をスクリーンで観たのは、1963年正月に親父と観た『太平洋の翼』だった。本土防空の戦闘機・紫電改の航空隊の奮戦記で、基地の司令官が三船敏郎、加山と同じく隊長クラスが佐藤允と夏木陽介、いずれも東宝のエース級だ。
だけど今観直すと加山ってイケメンだけど役者としては大味だ。確かに、戦争もの、時代劇、文芸ロマン、青春ものなど、何でも出るけど、さすがうまいなあって思ったことはない。怪獣映画との二本立てでよく観た「若大将シリーズ」だって、ライバル青大将の田中邦衛の絶妙な個性に比べたら凡庸だもん。
 ただそんな大味の加山雄三=若大将を救ったのが歌とエレキバンドだ。一番ヒットしたのが、『エレキの若大将』のなかで星由里子を相手に歌った「君といつまでも」だが、歌の合間に「幸せだなあ。僕は君といるときが一番幸せなんだ。僕は死ぬまで君を離さないぞ」なんて歯の浮くようなセリフを吐いても、加山雄三だと何故かさまになるのだ。その頃の「夜空の星」とか「お嫁においで」なんかのヒット曲も、歌謡曲としてはB級なんだが、これまたサマになる。ベンチャーズと仲良くなったり、来日したビートルズと会食(すき焼きだ!)できるのも加山雄三だからOKなのだ。

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