●自宅の前所有者は、金丸系企業 ともかく、写真(3つの内の中央)の西川善文・三井住友銀行頭取の東京都調布市内の自宅の不動産登記簿謄本コピーをご覧いただきたい。 これから明らかなように、西川頭取が自宅の土地を入手したのは88年1月20日のことである。 そして、前所有者は山梨県甲府市の「富士緑化」(社長・石川修。その後、東京都千代田区内に移転)なる会社であることもわかる。 この富士緑化とはいかなる会社なのか。 ゴルフ場造成や土木工事を手がける会社。 しかし、バブル崩壊後、業績が悪化し、03年2月に民事再生法を申請している(認可となり、再建中)。負債総額は約388億円(内、ゴルフ場の預託金が約154億円)。 問題なのは、同社は故・金丸信元副総理と極めて親しい関係にあった事実。 金丸系企業といえば、真っ先に思い浮かぶのは「丸金コーポレーション」かも知れない。 金丸の脱税事件が、93年3月に勃発したのはご存じの通り。その際、東京地検特捜部は巨額の割引金融債を、東京都千代田区永田町の金丸事務所から見つけている。同事務所は「パレロワイアル」というビルに入居していたが、金丸が事務所とは別に使っていた最上階の部屋の名義は丸金だった。また、同社社長は金丸の地元・山梨県議を2期務めていたし、金丸の政治団体「久親会」副会長だった。 だが、この丸金にも劣らないほど親しい金丸系企業が富士緑化だったのだ。 まず、前述の脱税事件においては富士緑化も家宅捜査を受けていた。 また、金丸の妻・悦子さんが長年オーナーを務めた「北斗商事」なる会社がある。同社は東京都港区赤坂に「北斗ビル」を所有、同所が本社になっていたのだが、富士緑化の東京支店はかつて同ビルに入居していた。そして、当時の金丸系政治団体「久親会」の甲府支部長を、富士緑化の社長だった石川彰造氏が務めていた。 さらに、悦子夫人は89年、北斗商事の株を実に40億円以上で富士緑化に売却している。それと共に、夫人は北斗商事の役員を退き、代表には富士緑化の石川社長が就いてもいる。 おまけに、金丸の親族が運営していた「境川カントリークラブ」(山梨県境川村)の造成工事を手がけたのは、富士緑化だった(オープンは87年5月)。同社は金丸の実家の造園工事も手がけていた。 「富士緑化はかつて山梨県立美術館、建設省発注の緑地工事などを受注。また、日本道路公団、鹿島や清水、大成などの大手ゼネコンを得意先にしていた。それが、金丸元副総理の地元である山梨県、また建設族で鳴らした金丸の後援者だったこととは、もちろん、大きな関係がある。それ抜きにはあり得ない」(事情通) まさに、富士緑化は金丸系企業だったのだ。 ●問題の土地を担保に、富士緑化に融資していた旧住友銀行 今度は一番上の写真の謄本コピーを見てもらいたい。 大きく×の印がついている箇所だ。 そこには、この土地を担保に、当時の住友銀行赤坂支店が1億の根抵当権を設定していることがわかる。 融資が実行されたのは84年3月のことである。 そして88年6月、その根抵当権は抹消されている。少なくともかたち上、富士緑化が返済をしたためと思われる。 ●富士緑化の根抵当権抹消前に、土地を購入していた西川頭取 前述したように、西川頭取が問題の土地を購入したのは88年1月20日のことである。 つまり、富士緑化の根抵当権が外れる(88年6月)前のことなのだ。 考えて見て欲しい。 あなたが不動産を購入するとして、そこに他人の抵当権が付いていて購入するか? もちろん、するはずがないだろう。 それをしたのは、すなわち、西川頭取と富士緑化の間に交流があり、その件でトラブルになる心配がないとわかっていたから購入したに違いない。 しかも、前所有者は旧住銀が融資している、おまけに金丸系企業なのだ。 その金丸が総理取りを援護、また、長男の嫁の親である故・竹下登元首相(87年11月?88年12月まで首相)と旧住銀は、旧平和相互銀行の吸収・合併(85年)を通じて蜜月関係にあった。 これら事実を思えば、この土地は富士緑化からの“プレゼント”ではないのか? と問われても、西川頭取は致し方ないだろう。…