■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
1月26日(金)の日経平均の終値は、先週比176円安となる、23,632円で取引を終えた。1月4日大発会で、ドーンと741円も上げた23,506円の水準まで、日経平均株価は落ちてきてしまったことになる。年初の予想としては、大発会の盛り上がりをみて、1月31日の米国「一般教書演説(インフラ政策骨子発表)」までは右肩上がりで推移し、日経平均株価は2万5000円にタッチする可能性がある、と考えていたが…非常に歯がゆい展開となっている。こうなったのは「為替」が原因だといっていいだろう。
2018年3月期下期決算の日経平均構成企業225社の想定為替レートは、1ドル109円40銭。27日(土)のドル円は、108.63円。1円の円高が、経常利益を0.4%押し下げるというから困ったことになってきた。…と、こう悲観するのも、今週から日本企業の決算発表が本格化するから。今週は、日本を代表するような東証1部の大企業が軒並み決算発表をスタートする。保守的な日本企業のことだから、このままだと4Qの想定為替レートを1ドル105円と出してくる画が目に浮かぶ…。そうなれば、当初筆者が描いていた「3Q決算で、通期決算予想の上方修正がいっせいに出てくる」という目論見は、もろくも崩れ去ることになる。
しかもこの円高、始末におえないのは、ユーロ >ドル >円となっているところ…。ドルインデクッス(横写真)をみると、年初92近辺だったはずが、現在89まで価値が下がっているのだ。世界で一番経済状況がよい国にあって、なお大幅な法人減税や、1・7兆ドルともいわれるインフラ投資政策の発表を控え、FRBは3回の金融引き締めをしようとする国の通貨が買われていないことに、現在の相場の危うい気配が透けてみえる。 また、日米ともに冴えない景気指標が増えてきているようにも感じる。昨年12月時点で、米国の1月の景気予測指標は、確かに冴えないものが多く出ていた。ただ、これは法人減税やインフラ投資が折り込まれてない中での数値だと侮っていたが、ここにきて日本においても、景気指標で不安定なものが散見されるようになった。年末に発表された「鉱工業生産指数」などがそれだ。同統計をみると、出荷の伸びが、在庫の伸びを下回っていた。これはわかりやすい景気後退のサインとして注目される現象だ。詳細をみるとFAなどの省力化関連は、依然好調推移ではあるものの、スマホなどの電子部品が足を引っ張っているようだ。
もちろん、一部の景気指標だけをみて、日本が「景気後退に陥っている!?」と騒ぎ立てる必要はない。ただ、年初から1月31日AM11:00に行われる、トランプ大統領の「一般教書演説(インフラ骨子政策)」で、材料出尽くしとなり、相場は軟調になる可能性がかなりある、と考えていたので、この発表前には、1回買いポジションを整理し様子見するつもりであった。それが少し早まった形であろうか。
先週の68回本稿でも書かせていただいたように、1月のSQ値23,723円を下回って同日中に戻ってこなければ、保有資産のリスクヘッジに回る、との言葉通り、現在の筆者のポートフォリオは、保有資産順に(1)日経ダブルインバース(1357)、(2)国際のETFVIX(1552)、(3)三菱UFJ HD(8306)、(4)シンデン・ハイテックス(3131)、(5)ヒューマンメタボロームテクノロジーズ(6090)、(6)ライクキッズネクスト(6065)、(7)清水建設(1803)、(8)フージャースHD(3284)、(9)安川電機(6506)※空売り、(10)エスケーエレクトロニクス(6677)である。※11位以下は割愛する。