アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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百貨店ビジネスモデル崩壊にコロナ禍で――「オンワード」に見る、アパレル販売員残酷物語

 アパレル大手「オンワードホールディングス」(8016。東証1部。東京都中央区。元経産省キャリアの保元道宣社長=下写真)が国内外の店舗数百店を閉鎖、続けて希望退職者350人を募ると明らかにしたのは2019年10~12月にかけてのことだった。
その時の店舗閉鎖に関しては、「全店舗約3000の2割の600店」との報道もあったが、閉鎖店舗につき目標数はなかったようだ。
オンワードは百貨店ビジネスモデル、具体的には百貨店に自社ブランドの「23区」「自由区」、さらに「Jプレス」「カルバンクライン」などの海外ブランドまで置かせてもらい、しかし売れ残った商品はオンワード側が引き取るという「消化仕入れ」方式で売上を伸ばして来た。
だが、EC販売が増え、百貨店の存在意義さえ薄れるなか業績は悪化。同社は将来を見据え百貨店とのなれ合いにようやく決別し店舗削減に乗り出した(EC強化も)。その決断はコロナ禍前だったが、その直後にコロナ禍になり、なおさら閉店、リストラを加速しているようだ。
こうしたなか、並行して社員の希望退職も募ったわけだが、本紙へのA元正社員(FPと呼ばれる販売員)の告発で、この350人には含まれない大量の販売員(FAと呼ばれる契約社員)がリストラされ、その「残酷物語」といっていい具体的な給与額、リストラに際しての手切れ金額なども判明したので報告する。
結論を先にいえば、営業(といっても、長年癒着して来た百貨店回り中心)や企画などが大半を占める正社員の高待遇は、現場で販売する大半の契約社員の冷遇ぶりの犠牲の上に成り立っていたようだ。そして、発表されたリストラ対象の人数にさえ含まれていなかった。
A氏曰く。
「販売員(FA)は内勤者のために働いていると言われるほど待遇でも給与面でも格差がありました。言い方は悪いですが、販売員は“死なない程度に食わせておけばいい”と思っているのではないかと思うほどで、“ケチ山”(実際の店舗販売の中核子会社=オンワード堅山の“堅山”に由来する)と言われているのはそこから来ていると思います。何年経っても給与は100円上がればいい方と言われていました」
そのA氏自身も、昨年パワハラを受け実質、首切りされたそうで、現在、訴訟を準備中とのことだ。

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