アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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国交省の統計改ざんより悪質――厚労省の「物価偽装」(=生活保護費大幅引き下げ)

 わが国の経済指標にもなっている「建設工事受注動態」という基幹統計を国交省が書き換えていた問題がこのところ大きな話題になっている。
だが、もっと重大で悪質極まりなく、「最悪の統計不正」といわれるものがある。生活保護者に支給される生活費の指標になっている「物価統計」を厚労省が改ざんした疑惑だ。
その結果、2013年8月から3年間で、その支給額(生活と住宅扶助の大きく2つある)の生活扶助額が平均6・5%と大幅に減らされた。
高齢者単独(都市部)の場合、2011年は約8万円だったから、この6・5%というと5200円の減額となった。
わずかと感じる方もいるかも知れないが、8万円で毎月の食費、電気・ガス・水道代など含む生活費をやりくりしている者にとって5200円はひじょうに大きい。
 ところが、この3年間、わが国政府が発表している消費者物価指数(CPI)で見てもその下落は2・35%。実際には1・5%程度に過ぎない。それが6・5%の減額。その差はいったい何だったのか!?
これ、実は厚労省が独自に算出した結果だった。算出といば何やら正当性がありそうだが、先に生活保護費削減ありきで、その辻褄合わせのための物価の統計改ざん(=4・78%)に+αで6・5%減額としたようなのだ。
これが事実なら、憲法で保障された国民(生活保護者)の「健康で文化的な最低限の生活」を送れなくしたのだから、今回の国交省よりもっと重大で悪質極まりないといえるだろう。
この厚労省による「物価偽装」、社民党の福島瑞穂参議院議員への政府答弁書のなかで判明。それを機に本紙・山岡の知り合いでもある「中日新聞」の白井康彦記者(当時。現在はフリー)と「日本福祉大」(愛知県美浜町)の山田壮志郎准教授が共同で調査し突き止めた。
このため、生活保護受給者ら1千人以上が全国29都道府県でこの生活保護費の基準引き下げの取り消しなどを求め集団提訴。これまで7つの地裁で判決が出ているが、大阪地裁だけ原告勝訴(21年2月22日)で、残り6地裁では原告敗訴になっている(原告の主張根拠として前出・白井氏の意見書が出され、名古屋や横浜地裁では白井氏自身証言している)。
この白井氏の論拠については、HP「生活保護費大幅削減のための物価偽装を暴く」をご覧いただきたい。併せて、白井氏のユーチューブ・チャンネルもどうぞ(*ココをクリック)。

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