アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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≪連載(264回目)≫アッシュブレインの資産運用ストラテジー 今週の相場展望(1月17日~1月21日)

プロフィール 投資歴23年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。

≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は28,124円と、前稿比-355円(※前項▲313円)の2週連続小幅下落となった。しかし、金曜日夜の米国市場はナスダックが切り返しの動きをみせたこともあり日経平均CFDは28,319円まで戻って引けている。(横写真=「毎日」1月11日朝刊1面)
TOPIX(東証1部全体)の週末金曜日の終値は、1,978Pと週間で-18P安(※前稿+4)。
そしてNYダウは、週間で-320ドル安となる35,912ドル(※前稿比▲106)。
先週は、1月12日(水)AM0:00にパウエル氏の議会証言という注目イベントがあり、その中でQT(資産圧縮)の時期を「年後半に」と述べた。また議事録をみると、2022年度のPCEインフレ率は+2.6%予測と、価格を押し上げている需給の不均衡は弱まる見通しだとも述べている。
市場はこれを受けて、インフレのピークが足元orないしは年央だというコンセンサスが醸成されていたこともあり、「QTの年後半でのスタートの可能性は本当」だと受け止め地合いが改善したようだ。
FRBの資産は8兆7700億ドル(1010兆円)まで積み上がっており、金利は現在が史上最なこともあり怖いのは金利の引き上げではなく、QTだけなのだろう。13日にはブレイナードFRB副議長候補の余計な発言(タカ派に豹変)があったが、その後、市場は落ち着いた感がでて特にナスダックは踏ん張りを見せたと言える。
利上げに関しても、年3回が市場コンセンサスになりつつあり、一部タカ派の年4回だの8回だのいう考えは否定されつつある。これは米国の2年物の国債金利を見ればわかるというものだ(※テクニカルの項で後述)。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。
基本的に、これでQTと利上げを折り込んだこととなり、市場の張りつめた緊張感は薄れてきている。
また、海外投資家が1月1週目に+3740億円(先物+481億円、現物+3259億円)も日本株を買い越しであった事実は見逃せない。当該週は週間で-313円安で、FOMC議事録、雇用統計の発表、そしてオミクロン株の蔓延で市場が大揺れだった時期なのだ。これは心強い。
とはいえ、ここからは個別銘柄で勝負する地合いとなるだろう(※指数は横ばいが関の山だと考えている)。この中でやはり狙いたいのは実際の資源が値上がりしている資源株や、バリュー銘柄となるだろう。基本的にハイテクグロース株は、これから金利が上がっていく環境下ではどうしても買いが続かず不安定になる。
ただ気を付けたいのは、来週から本格化する日米共の企業決算。そして今回だけは決算またぎはしないほうが良いと強く言っておきたい。狙うは市場コンセンサス程度の決算で、下がってしまった銘柄をスイングで拾うか、または決算前の上方修正狙いで買いで入るかだろう。
このように、かなり慎重な物言いをするのには2つほど理由がある。まずは(1)インフレ動向。バイデン政権は、1月中に港湾の物流停滞を緩和するための措置を講じると発表している。まずはこの様子を確認したい。仮にインフレが、FRBの示すような今年前半で鎮静化することがないのならば、今度こそ凄まじい市場クラッシュが起こる蓋然性が極めて高いからだ。
また(2)、FRBは3月16日の最初の利上げを+0.5%の利上げにしてくる可能性が充分ありえる、と筆者は考えている。本気でインフレ抑制を目指すならば、1回目の利上げの規模を大きくすれば、それが市場の警戒心を生みインフレの抑制に上手く作用するだろう。現在、この考えは市場にまったく折り込まれていない。よって仮にこの目論みが露見するとなれば、一時的に市場はハレーションを起こすだろう。筆者の予測では、この後6月に2回目となる+0.25%の利上げをし、FRBとバイデン政権は米国の中間選挙を迎えるのではないかというものだ。仮に上記が正しければ、2月5日に行われるFRB半期議会証言あたりでパウエル議長から唐突に発言がでそうで怖いところだ。
しかし、これまでハト派だったパウエル氏も、副総裁に就任するブレイナード氏も、突然、先週の議会証言で極めてタカ派に変身したわけだが、これはインフレを抑えるためにバイデン政権が用意したシナリオである可能性はかなりあるとも考えている。これまでの2人の発言を振り返ると、非常に冷静で慎重な物言いに終始していたことからも、こちらが本意だと考え、インフレさえ落ち着けば、11月の中間選挙に向けて現実路線(経済成長路線)に戻る可能性は充分ありそうだ。
「FRBはインフレ抑制と景気拡大に取り組め」と、バイデン大統領も言っている通り、インフレさえ落ち着いてくれるのならば、市場は乱高下しながらも、史上最高値を更新していくだろう。企業業績自体はいまのところインフレのダメージを負っているようには思えない。バイデン大統領にとって、株価だって政権支持率を大きく左右する重要なファクターなのだ。
筆者は、持ち株がバリューに偏ってしまっていることもあり、1月下旬までは持ち株の上方修正を待つ方針とするが、うまく株価が上がるのなら決算発表前に多くをリカクし、いったんキャッシュポジションを増やし、来る暴落待ちをする考えである。
さて、ここからは年初から悲惨な大暴落となっているマザーズ市場について私見を述べたい。テクニカル的にいうと25日線乖離率は(845P-967P)÷967P= -12.6%となる。通常時なら-10%以上となれば、明らかな売られすぎサインである。騰落レシオも25日線で計算すると63%であり、これが70%を割ること自体がたいへん珍しいことだ。
需給環境としても、1月1週目は、海外勢が-232億円の特大売り越しをしてきて、セリングマックスっぽくなっている中、なんと個人投資家が(先物+41億円、現物+282億円)の+323億円の超絶買い越しと気を吐いている。
これまで、12月2週目に個人は+179億円の買い越し、12月3週目に+210億円の買い越しだったものの、海外勢の売り越し基調に崩されて、結果的にそこからすさまじい暴落だったわけだが。
信用維持率も12月3週目には-30%台という異常値がでて、そこから暴落しているのに個人は投げ売りせずに耐えきってまだ余力があるとは本当に恐れ入った。個人投資家も最近は層が厚くなってきたことで、海外勢も売り越し基調をやめざるをえなくなりリバウンド態勢に入るのか? 注視している。1つだけ不安に思うのは、先週、今週のマザーズ市場に出来高がないこと。ここまで売られているがゆえに、大きなパワー(出来高)が発生しないと市場は反転しづらいだろう。
また、ここまでキャシーウッド氏率いるARKK(アーク)指数に連動している感があり、この指数も注視して、マザーズ銘柄の買い場を探したい。

かなりギャンブル投資になってしまうが、すでに大暴落しているわけで、もしかして1,000P手前の出来高が集中するラインまで短期で急騰する可能性さえあると考え、3月11日のメジャーSQに向けて大きな期待をかけている。
また現在の筆者のポジションは、大きい順に(1)「大紀アルミ」(5702)、(2)「川崎重工業」(7012)、(3)「東京電力」(9801)、(4)「タムラ製作所」、(5)「酒井重工業」(6358)、(6)「AFC-HD」(2927)(6768)、(7)石井表記(6336)であり、信用維持率は50%である。先週は決算前だったAFC―HDを半分売っておいたが功を奏したようだ。ほかにはマザーズ先物の3月限を月曜日に損切りし、金曜日の夜に同商品を懲りずにまた買っている。
インフレ見通しがはっきりするまでは、相対的に現状のハイテクグロースが弱く、バリュー株の優位の相場付きに変更はないだろう。
また備忘録として、ヘッジファンド、ダブルラインキャピタルのガンドラック氏は、政策金利が1.25%程度となると市場が崩壊すると予想しているため、4回の利上げ予想がでてくるとたいへんまずいことになる。

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