ファイナンシャルプランナー(FP)の立場を利用し、保険営業マンとして顧客の相談に乗るふりをしながら、その顧客の資産状況を聞き出し、投資詐欺話などを言葉巧みに持ちかけ、約20名から総額約6000万円を詐取していた柏木達哉被告(冒頭写真。39)――その控訴審判決が11月17日にあり、控訴棄却となり、懲役6年、罰金100万円の一審判決を支持したことは本紙既報の通りだが、控訴棄却とした理由をお伝えする。
判決文によれば、柏木被告は、一審では詐欺などの事実関係を全面的に認め争わなかったにも拘わらず、予想以上の重い実刑判決になったためだろう、詐欺の故意はなかったとして無罪を主張。また、詐欺の手口は単純、一部返済している、初犯、妻が被告人を見守るとしており更生環境が整っている、早期に社会復帰した方が被害弁済できるなどといって、量刑が重過ぎるとも主張していた。
だが、三浦透裁判長は以下のように断じた。
「原判決は、詐欺の各事件について、犯行態様は、生命保険の営業職をしている被告人は、客である被害者らから深い信頼を得ていることに付け込み、言葉巧みに、元本保証や高利の配当を約して、多様な投資等の名目でだますなどしたものであって、その中には、被害者の資産額を把握した上で同じ被害者に対して別の投資等の名目で複数回だましているものもあり、巧妙かつ執拗であること、被害額は、合計5759万円余りの多額に上がること、被告人は、いずれ資金繰りが破たんすることを認識していたはずであるのに、5年以上の長期にわたり、多数の被害者に対して犯行を繰り返しているのであって、身勝手であり、常習性が認められること、(略)、出資法違反事件について、1年以上の期間にわたり、5名の者から合計3100万円を超える預り金をしており、この規模の大きいことを指摘し、これら犯情等に照らすと、各詐欺の被害者らが利欲目的を有していたこと等を考慮しても、被告人の刑事責任は相当に重く、相当期間の実刑を免れないとした。その上で、原判決は、(略)一般情状を考慮しても、被告人を懲役6年及び罰金100万円に処した。(略)原判決の量刑判断は、考慮した事情及び評価ともに相当であり、当裁判所も首肯することができる」。