プロフィール 投資歴22年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は29,069円と、前稿比+1020円(※▲722⇒ ▲1477→ ▲252円→ +118→ +1254→ +1487→ +628→ ▲964→ +157→ +536→ ▲264→ ▲455→ +63→ ▲843→ ▲283)と大幅高となった。
週末の金曜日も米国市場は落ち着きを取り戻しており、日経平均CFDも29,187円と上昇して引けている。
TOPIX(東証1部全体)は、終値2,024と週間で+42P高(※前項は▲24⇒ ▲105→ ▲9→ +8→ +77→ +86→ +48P)。
そしてNYダウは、週間で+527ドル高となる、35,295ドル(※前稿比+332⇒ ▲472→ +217→ ▲23→ ▲761→ ▲87→ +246→ ▲305→ +306→ +274→ ▲127→ +374→ ▲182→ +94)と反発。先週は経済指標をこなして上げてきているので、かなり安心感がある。
先週の週明け11日(月)の日本市場は、前日に岸田首相が「金融所得課税は当面考えてない」と発言していたことから、おそらく多少は相場にプラス効果がでるのでは!? と期待していた。
ところが月曜日AM6:35に、ブルームバーグが「ゴールドマンサックスが2021年と22年の米国成長率を引き下げ」と報じたことで、ショック安が起こりそうな地合いが醸成されてしまい朝イチの先物は一時マイナス200円があったと思う。
この報道を起床して確認した筆者は、これはいったん様子見が吉!と判断し、朝イチの寄り付きで、「MIPOX」、「太平洋セメント」、「UACJ」、「石井表記」、そしてマザーズ先物の売却を決断した。ところがAM10:30頃からだろうか、日経平均を中心にドラスティックな値動きが始まり、結果、日経平均株価は+449円高で引ける有様。ただその夜のナスダックがヘタれていたことから、「下がり切っているハイテクグロースの半導体株が、ここから切り返すならうまく拾いたい!」と考えて、チャンスを待つことに。それほど確信があったわけではなく消極的な思考だったと思う。
そして、迎えた14日(木)、前日の米国で、ナスダック市場が4日振りの反発をしたことをAM8:00に起床して知ったが、しょせん+0.7%程度の小反発。この時点では「だいぶ底練りが進んで、強くなってきているな」程度の感覚であったが、寄り付き前に「東京エレクトロン」(8035)を始めとした日本の大型ハイテク株の気配をみると特買いになりそうな気配。これは何かがおかしいと感じ「東京エレクトロン」(8035)と、懲りずに「MIPOX」(5381)を、大きめの枚数で購入した。結果は、保有期間2日にもかかわらず、大きく出過ぎた結果になってしまった。
最近はなぜか、やることなすこと上手くいってしまっている。これはひとえに、相場に上手くシンクロできているからであろう。本稿を書くことで一番プラスになっているのは、間違いなく書き手である筆者である。改めまして、執筆場所を提供してくれている主催者の山岡氏に感謝するとともに、これまで以上にアクセスジャーナルを盛り上げていきたい所存であります。
さて、先週の相場を振り返ると、なかなか奇妙な感覚を覚える。9月米国消費者物価指数・CPIや、9月卸売物価指数・PPIを受けて、将来的なインフレ懸念に関しては少し後退したとの見方が優勢となり、米国10年債利回りが低下して、半導体を中心にしたハイテクグロース株が上昇を開始している。しかしテクニカルの項で後述するが、米国「期待インフレ率」は2.56%と最高水準を更新してしまった。大きな相場の波乱となった5月11日は2.54であり、この時点では8年ぶりの高水準だったのだがこれを超えてしまったのだ。期待インフレ率とは、今後10年間の予想インフレ率を指しており、通常は米国10年債利回りがこの数値を上回るのが通常である。そう考えると、普通なら10年債金利はもっと上昇してもおかしくないのだが。
そもそも、原油だけでなく銅やアルミなどの商品市況も、指数の高騰が止まっておらず最高値更新を続けている。ただ直近、気持ちこうしたコモデティ商品の関連銘柄が弱くなっているような感覚を持っているが、いまだインフレ懸念は激しく燃えている状況だと断言できる。
今週のストラテジーへと移りたい。
国内に関しては、衆院選投開票日までは株高になりやすい強烈アノマリーがある。なんと1969年以来18回の総選挙で、全勝(株高)の最強アノマリーだ。今回は10月19日告示、31日の投開票のスケジュール。すでに自民党の衆院選公約がでているが、隠し玉で岸田総理が、経済政策において目新しく効果を期待させるようなものを出せれば大きなプラスとなるだろう。
もしかすると発足したばかりのデジタル庁や、国策で半導体の育成などの話がでるやもしれない。一応、「選挙で勝てば数十兆円規模の経済対策をする」と曖昧模糊でオウムのような発言を繰り返すだけの総理ではあるが、多少は期待をもっておきたい。支持率が高くないことは理解しているはずで、衆議院選挙に向けていいかげんしっかりとした発言を期待したいところだ。いまのところ、この首相には指導者としての資質に疑問符が投げかけられているので、少しでもはっきりとした物言いをするのなら相場に大きくプラスとなる。
また、米国市場の立ち直りは早く(現在35,321ドル)、NYダウは、最高値である8月16日の35,631ドルが見えてきている。よって、35,500ドル台に乗ってからどう動くか!? が今週の一番重要なポイントであるだろう。仮に、最高の展開となる(上抜けする)ならば、日本株のホールド握力は増すというもの。そして残念にも上抜けすることができなければ、市場はボラティリティを求める性質を多分に持っているので、またポジションを軽くしなければならない展開となるかもしれない。いまのところ今週は、先週までの海外勢の売り越し金額が多いこともあって崩れないで好地合いを本線に考えている。
そして悪材料としてはもう折り込まれている可能性が高いものの、10月22日が「中国恒大集団」のデフォルト猶予期限日である。中国・共産党は、デフォルトしてから解体してじっくり国内の動揺を抑え込む方針だと考えられているが、19日(火)にも同社は利払いが発生するので、ここで動きがある可能性がじゅうぶんにある。また同社の簿外債務の存在や、同業他社延いては中国経済への影響が出ている可能性も大であり、18日(月)AM11:00に発表される中国経済指標は特に注視したい。