アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第56回「『栄屋ミルクホール』よ永遠に」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 10月8日の朝日新聞夕刊の社会面を見てびっくり!「愛された東京ラーメン また会う日まで」のタイトルで、76年も続いた神田「栄屋ミルクホール」が何とこの8日で閉店だというのだ。知ってたら行くんだったよ。
この店は、かつて取材でも訪れたし、ラーメンも何回も食べた。最初に行ったのは35年くらいも前で、その頃でもレトロな店構えで、昔ながらの深緑の銅ぶきの壁に「軽食・喫茶サカエヤ」の看板の下に「ミルクホール」ののれんがかかっていた。
「ミルクホール」というのは戦前・戦後に流行った大衆喫茶みたいな店だが、行った頃は典型的な町中華といった食堂で、ラーメンはごく普通の鶏ガラ出汁の東京風あっさり系のわし好み。チャーシューがしっかりしていて美味かったのだ。
 ここの人気メニューにカレーライスもあって、これが昔の家庭風というのか、カレー専門店とは対極のタイプ。ラーメン&カレーセットを頼んで、田舎の食堂みたいな空間で過ごすのが何ともいえない癒しになったのだ。今時のカリスマ系ラーメンのやたらと凝ったスープや麺、妙にカッコつけたチャーシューよりこっちのほうが良い。とはいえ、こういう店は絶滅危惧種になりつつある。
こうした懐かし東京風のラーメンの老舗は沢山あったのだが、次々と消えていった。美味いまま消えるのはまだしも、味が落ちて消えた店も多い。どうせ町中華のラーメンだからそんなもんさ、という人もいるが、同じ町中華でも何かが違う。同じ大衆食堂でも、しょうが焼きや肉じゃがで違いが出るようなものかも知れない。

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